「え? 何、このおいしさ?」
初めての南インド・ケララ州で、この地域の料理のおいしさに驚愕しました。辛味が少なくご飯が進むこの地のカレーは、日本人観光客が多い首都デリー周辺のカレーとは大違いでした。インドを旅したことがある人たちはこう言います。「ケララ州のカレーはおいしいよね、日本人に一番合うカレーじゃないかな」と。

カレーの概念を壊されました。インドは辛いカレーだけではないのです

南北に約3,200キロ、日本の面積の約8.7倍の面積を有するインドでは東西南北でカレーの味だけではなく主食すらも変わり(南はライス、北は小麦)、各地方によってそれぞれ食文化が形成されています。

自転車でインド各地を巡った約半年間の旅は、インドでも牛肉を食べる文化があること、ハンティングで仕留めた豚を料理してくれた料理人との出会いなどまさに驚きの連続。“本に書いてあるインド”や“日本で耳にするインド”とは別世界が広がっていたのです。

読者のみなさまが持つ、インド料理のイメージはどのようなものでしょうか?
スパイスがたくさん使われ、辛いカレーがいくつもあることは確かですが、その逆で、辛味がほとんどなく、食べやすいカレーもたくさんあるのですよ。

カレーの作り方を丁寧に教えてくれます

南インドに習う、この季節ぴったりなカレーとは

僕の最も好きな街の1つ、南インド・ケララ州コーチン。ここは、僕にインドカレーのおいしさや奥深さを教えてくれた場所でした。

海沿いの市場には朝獲れた魚介類が並び、路上には野菜やフルーツが山積みになって売られています。炎天下で溶けてしまった氷や、少し傷んだトマトがあるのはご愛嬌。スパイスの力でおいしいカレーに変わっていきます。

特に印象に残っているカレーは、地元のおばあちゃんから教えてもらったオクラのカレーです。僕の拙い英語でもわかりやすいように、ココナッツやスパイスの使い方を教えてくれました。このおばあちゃんから教わったココナッツカレーは日本で作っても大人気です。南インドのように、暑い日に食べるココナッツカレーは格別ですよ。この季節にぴったり、ぜひ作ってみてください。

ケーララ州の野菜売り場では味の濃い野菜がたくさん売られています

オクラとココナッツの相性が抜群のカレー

ココナッツはカレーに甘みとコクを加えてくれる優れもの。いつもとはひと味違うカレーを簡単に作ることができます。

<材料>2人分
玉ねぎ:半分
トマト:半分
オクラ:2本
ベビーコーン:2本
鶏もも肉:1枚
ココナッツミルク:300cc
カレー粉:大さじ1
塩、油:適量
水:適量

<作り方>

  1. 玉ねぎをみじん切りにし、トマトは2cm角、鶏肉は食べやすい大きさに切る。
  2. 鍋に油をひいて、玉ねぎを全体に火が通るくらいまで炒める。
    ※アメ色まで炒める必要はありません。
  3. 鶏もも肉を少量の塩とともに加え、火が通るまで炒める。
  4. フライパンで熱して香りを出したカレー粉を3に加える。
  5. トマトを加えて水分を飛ばす。
  6. 水をひたひたより少し多めに加え、弱火で10分間煮込む。
  7. オクラとベビーコーンを加え火が通ったらココナッツミルクを加える。
    ※ココナッツミルクを加えたら沸騰させない。
  8. 塩で味を整えて完成。

枝豆(茹でたあと、房から出して)やカボチャを使ってもおいしくできますよ。
ぜひいろいろな野菜で作ってみてください。