夏のラーメン店で集客のポイントになるのが、冷製メニューの開発。大阪・福島にある「福島壱麺」では、期間限定で「冷やし塩そば」を用意し、ファンからの熱い支持を集めている。その魅力は、しめサバ×ラーメンという意外な組み合わせ。魚介の活用でおいしさを生み出す、同店の取り組みを取材した。

期間限定メニュー「冷やし塩そば」

同店は、「豚骨ラーメン」と「海鮮塩ラーメン」の2枚看板で人気のラーメン店。「冷やし塩そば」は、4月頃から10月に登場する期間限定メニューである。オープン時から例年提供しており、心待ちにしているファンも多い、夏場の一番人気となっている。

トッピングされているのは、炙った自家製のしめサバ。そのユニークなスタイルに驚くとともに、「ラーメンに合うのか?」というイメージを持つが、ひと口食べれば、サバの生臭さを感じないマッチングの妙に納得させられる。しめサバの酢がスープに溶け込み、キュウリやミョウガとともにさっぱりと楽しめるのだ。

さらに、ほとんどの客が頼むのが、温かなご飯にワサビと海苔をのせた「〆のわさび飯」(50円)。残ったスープをかければ、冷たいお茶漬け風にサラサラいける、夏にぴったりの締めとなる。

「冷やし塩そば」(800円税込)
「冷やし塩そば」(写真手前)の具材は、炙りしめサバ、カイワレ大根、キュウリ、ミョウガ。添えたスダチで、味の変化と清涼感も楽しめる。写真奥は「海鮮塩ラーメン」

サバの脂が“冷やし”に合うことに着目

「“どこにもないラーメンを作りたい”という思いで、魚のトッピングを考えました」と店長の鈴木孝郎さん。マグロなどいろいろな魚で試した結果、サバの脂が“冷やし”に合うことに着目。焼きや煮付けなども試した結果、炙りしめサバに決定したという。

「海鮮塩ラーメン」は、日替わりの鮮魚(取材時・ホタルイカ)と鶏むね肉のレアチャーシューをトッピング

魚のトッピングは、人気メニューの「海鮮塩ラーメン」(800円)でも、ポイントになる味として活躍。日替わりで、取材時のホタルイカの他、ハモやタイ、冬はカキやアンコウなど、季節感ある食材が味わえる。スープは、魚介や昆布など15種類の“節”からとっただしと鶏のだしで調味。あっさりした塩スープで、こちらも夏に好適だ。

同店には製麺室があり、自家製麺にこだわり提供しているのも特徴。国産小麦100%の麺は、産地や塩を厳選し独自の配合で製造。細麺や中太麺など、それぞれのラーメンに合う麺を開発している。ここにも、「どこにもないラーメンを」という意気込みが感じられる。

メニューには、曜日ごとに違う味を用意する“日替わりラーメン”も。タンタン麺風辛口豚骨ラーメンや混ぜそばなど多彩な味を提案し、そのラーメンを目指して来る固定ファンも多いとか。「スタッフ全員でアイデアを出し合い、日替わりラーメンとして商品化することも。常に新しいラーメンの考案を心掛けています」。味への挑戦を続け、より支持される店づくりを目指したいと話す。

駅近の便利な立地。日本酒の種類豊富で、夜は居酒屋利用も多い

●店舗情報
「福島壱麺」 経営=オーゼットカンパニー/店舗所在地=大阪府大阪市福島区福島5-6-16 ラグザスクエア(ホテル阪神地下1階)/開業=2014年5月/営業時間=午前11時~午後3時、6時~11時。無休/坪数・席数=11坪・24席/平均客単価=1000円

◇外食レストラン新聞の2017年7月3日号の記事を転載しました。