みなさんは「黄色いカレー」を食べたことがあるでしょうか。40代以上の人にとってはきっと懐かしい味として記憶されている、小麦粉とカレー粉で作った黄色くて素朴な味のカレーライス。市販の固形ルウが一般的となった現代ではすっかり姿を消しつつありますが、実は沖縄の食堂ではまだまだ現役。地元民から熱烈な支持を得ているのです。

食堂ではまだまだ現役、沖縄そばと肩を並べる庶民の味の代表格

昭和初期の家庭の食卓を彩ったメニューのひとつ「黄色いカレー」といえば、フライパンでバターやマーガリンなどの油脂と小麦粉、カレー粉を加えたルウで作った、もったりとした食感で素朴な味わいのカレーライスのこと。

長時間煮込むわけではないので、具材の野菜はシャキシャキと歯ごたえが残って比較的あっさりとした味わいで、現代のカレーとは一線を画した料理といっても過言ではありません。

現代では、市販の固形ルウを使えば欧風でもインド風でも簡単に本格的なカレーが楽しめるようになり、黄色いカレーの姿はすっかり見かけなくなりましたが、ここ沖縄の食堂では定番の沖縄そばと肩を並べるほどまだまだ根強い人気を誇っているのです。

特に中高年以上の男性にファンが多く、いわゆる老舗と呼ばれるような沖縄の食堂では、沖縄そばやチャンプルー料理と並んで定番メニューとなっています。

沖縄の食堂は基本的に大盛り

どどーん!と平皿に盛られてきたこちらのカツカレー。比較対象物がないのでわかりづらいですが、お皿の大きさを測ってみると横32cm、縦23.5cmありました。カレーに限らず沖縄の食堂は基本的に大盛りの店が多いので少食の方は要注意です。

平たいお皿にこんなに山盛りなのにルウが溢れ出ていないのは、強いトロミのおかげ。写真から伝わるでしょうか、この表面張力。黄色いカレーとのコントラストが美しい、赤い福神漬けがまたニクい演出です。

スプーンでひとさじすくってみると、とろっとしたルウに柔らかめのご飯が絡んでこの緑色は・・・ピーマン!?

カレーの具材としてピーマンを入れるご家庭は少ないと思いますが、実は黄色いカレーにピーマンは定番。ピリッとしたカレー風味にピーマンのシャキッとした苦みが意外とマッチしており、彩り的にも欠かせない存在なのです。

ピーマン以外の具材は一般的なカレーと同じ、にんじん、たまねぎ、じゃがいも。店によってはポークランチョンミートやグリーンピースなどが入ることもあります。

カレーなのにカレーじゃないような不思議な味わいがくせになる黄色いカレー。店によってルウをのばすのに沖縄そばのだし(かつおだしや豚骨だし)やスープのブイヨンを使うこともあるので、あっさりながらも奥行きのあるコクを感じるのはその影響かもしれません。

ウスターソースやコーレーグースで味の変化を楽しんで

なんといってもボリューム満点の黄色いカレー。途中で味わいに飽きてきたら、卓上のウスターソースやコーレーグース(主に沖縄そばに使う調味料で、泡盛に島とうがらしを漬け込んだもの)、一味などをかけて味の変化を楽しむのもおすすめです。私のいちおしはやはりウスターソース。甘くて深いコクが加わってさらにスプーンが進みます。黄色いカレーを食べる時にはなくてはならない相棒です。

沖縄そばやチャンプルーもいいけれど、黄色いカレーもまた沖縄ならではの一品。沖縄観光に訪れた際は、ぜひ食堂で味わってみてくださいね。

※すべての沖縄の食堂がカレー=黄色いカレーというわけではないので、事前にお店の方に確認してみてくださいね。