スターバックスジャパンが大阪駅前にできた新施設「LINKS UMEDA」内に、顔の全く違う3店舗の「スターバックスコーヒー」を出店した。中でも「SHINRIN-YOKU TREE」をデザインコンセプトにした「2階店」は緑の葉に囲まれた外観と家具など大阪産のクリの木や「おおさか河内材」をふんだんに使った内装が印象的な店舗で、都心に作った森から同社ならではのメッセージを発信している。

同店では、大阪産のクリの木を使用したバーカウンター、フロントパネル、テーブルや椅子、スピーカーに、おおさか河内材を使ったベンチや柱、丸太テーブルなどに地元木材を多用している。

「JIMOTO table プロジェクト」として店舗に地元木材で作ったテーブルを設置し、利用者に地元の森や自然の存在を知らせて自らの暮らしを考えるきっかけ作りの活動を進める同社でも、これほど大量の地元木材を使った内装デザインは初めてとなる。

バーカウンターにも大阪産のクリの木を使用

さらに、2階から3階へつながる階段には河内長野の森の音をBGMに流し、アーティストの淀川テクニック氏と府内の子どもたち約20人、同社バリスタらが家具製造時に出る端材や淀川に漂流した枝、廃棄物を素材に自由な感性でつなげて工作した大きなアート「梅田みらみらの木」を壁面に配置し、森のイメージを視覚と聴覚の両方へ届ける。

大阪産の木材を多用した店内と、右奥の階段スペースには廃材で作ったアート「梅田みらみらの木」

同社は30人のデザイナーを抱え、地域色豊かな店舗作りをしている。高層ビル群に囲まれた大阪・梅田に一つの森として誕生させた「LINKS UMEDA2階店」では、コーヒーと木の香りで多忙な日常の中にも心が緩む環境をつくり、同時に自然に触れることで、地元里山や衰退する国内林業へのサポートなど、持続可能な未来を考えるきっかけとしての存在も狙っている。

〈概要〉▽営業時間=午前7時~午後11時▽所在地=大阪市北区大深町1-1▽面積=246.112平方m▽席数=98

◇日本食糧新聞の2019年12月6日号の記事を転載しました。