ボンジョルノ。イタリア在住フードライターの鈴木奈保子です。今回は冷凍保存した食パンを使った簡単メイン料理のレシピをご紹介します。食パンの間にチーズを挟んで揚げただけの料理ですが、中からとろりと溶けでるチーズの柔らかさと揚げたパンのサクサクした食感のコントラストがイタリアの子供に人気な揚げチーズサンドです。
また、食パンを美味しく冷凍保存する方法についてご紹介します。いつも家に買い置きがあって便利だけど、そのままにしていると、すぐにカビが生えたり固くなってしまう食パンについて、簡単で正しい冷凍保存の方法と保存期間などを説明します。

食パンにモッツァレッラチーズをはさんで揚げるだけ

冷凍した食パンは、室温に置いて自然解凍するのが一番。いつでも必要な時に使えるので、便利ですね。とはいっても急いでいるときは、直接トースターで焼いても大丈夫です。少し高めの温度で温めたトースターに入れて焼くのがポイント。時間に余裕があれば、焼く直前に霧吹きなどで表面に水をかけてから焼くと、より一層美味しくなります。

普通にトーストするだけで美味しい食パンですが、今回は、イタリアの子供たちに人気の食パンを使った揚げチーズサンドのレシピをご紹介します。イタリア語でモッツァレッラ・イン・カロッツァという立派なメイン料理です。

食パンにモッツァレッラチーズをはさんで揚げただけの料理なのですが、中のチーズがとろりと溶けるところが、子供が大好きな人気の料理です。食パンのサクサクした食感が軽くて、ぺろりと食べてしまいますが、トンカツにも負けないボリュームです。

もちろんモッツァレッラチーズが手に入らないときは、とろけるスライスチーズなどでも代用できます。忙しくて買い物に行けないとき、節約したいときにもピッタリですね。

【材料】(4人分)
食パン 4枚
モッツァレッラチーズ 100g(スライスチーズの場合は4~6枚)
卵 2個
小麦粉 適量
パン粉 適量
揚げ油 適量
塩 少々

【作り方】
1.モッツァレッラチーズを厚さ0.5cmくらいに切り、余分な水分をキッチンペーパーで取っておく。
※スライスチーズを使う場合は、半分に折って重ねて厚みを出す。

2.食パンは横半分に切る。まず、1/2サイズの食パンを4枚並べその上にモッツァレッラチーズ、塩少々をのせる。

3.そのうえにもう1枚の1/2サイズの食パンでふたをする。上からしっかり手で押さえること。

4.チーズをはさんだパンを卵液・パン粉の順にしっかりまぶしていく。

5.フライパンに揚げ物用の油を熱し、(3)を色よくからりと揚げる。

この料理のポイントは、揚げているときに、チーズが食パンからはみ出てこないように、きちんと衣をつけることです。パンの表面だけではなく、サイドもしっかり卵液に浸して、パン粉をたっぷりつけましょう。

どこの家にでもある材料で作るシンプルな料理で、もともとは、古くなったパンで作るイタリアの伝統的なリメイク料理です。チーズをたっぷり使うと、より一層おいしくなります。

このほか、普通のハムチーズトーストの代わりに、上からもう一枚食パンを重ねたホットトーストサンドも人気です。

この場合は食パン・チーズ・ハム・チーズ・食パンの順に、チーズを二層にするのがポイントです。こうすると真ん中のハムが両面の食パンにしっかりとくっついて、ぺろりとはがれてくることがなくなります。

イタリアでもパンは冷凍保存が基本

パスタの国というイメージの強いイタリアですが、パスタを食べる時でも必ず食卓に登場するのはパン。日本のお米にあたるのは、パスタよりもパンです。

イタリアでは小麦粉と水と天然酵母、塩だけで作られた昔ながらの素朴な食事用のパンを、はるか大昔から食べてきました。驚くことにほんの数年前までは、毎朝その日に家族が食べるパンを買いに、パン屋へ行く人が多かったイタリアでも、忙しいライフスタイルに合わせて、一度にまとめて買って冷凍、という家庭が急増しています。

また、最近では日本のような食パンも多く市販されています。スーパーで手軽に買えるうえに、食べやすくカットされていて、伝統的なパンに比べて日持ちもする食パンは、イタリアの働くママにとって強い味方のようです。

食パンのおいしい保存方法が冷凍な理由は?

買ってきた食パンを、数日室温でそのままにしていて、うっかりカビを生やしてしまったという経験は、きっと誰にでもあると思います。カビが生えなくても、室内に置いておくと、固くなったりパサパサになったりして、せっかくの美味しさが台無しになってしまいます。

食パンを買ってきたら、なるべく早く冷凍庫で保存することが美味しさを保つコツです。でも、どうして冷蔵庫ではなく、冷凍庫での保存なのかご存知ですか?それはパンに含まれている小麦粉のでんぷんが冷温に弱いので、冷蔵庫だと劣化して、パンが固くなってしまうのです。

ご飯が冷蔵に向かないのと同じ理由です。そのため、冷蔵庫ではなく冷凍庫で、でんぷんの劣化をブロックすれば、パンの柔らかさが保てるのです。

冷凍庫での食パンの正しい保存の方法・期間は?

食パンを冷凍するときに、気を付けなければいけないのは水分が蒸発してしまうことです。冷凍庫の中で乾燥してしまわないように密閉性のある容器で保存するのがポイントです。

簡単なのは、密封することができるジップロックのような袋に、使いやすいように1枚か2枚に小分けして入れる方法です。冷凍用の密閉袋は性能が優れているので、わざわざラップなのでくるんでから入れなくても大丈夫。その時、袋の中の空気を抜くようにして入れておくのがコツです。

密閉容器の中だと、水分の蒸発を防げるし、冷凍庫の他の匂いがつくのを防いでくれるので、美味しく保存することができます。

とはいっても、冷凍庫内での保存は2週間が目安です。袋に冷凍した日付を記入する癖をつけたほうが安心ですね。いつまでも冷凍庫の中に放置しないように注意しましょう。

いかがですか?いつもの食パンを、ちょっとの工夫で美味しく保存できる、活用できる方法をご紹介しました。絶品の食パン揚げサンドも試してみてください。