滑らかで胡麻の風味が口いっぱいに広がる味わい深い奈良の郷土料理「胡麻豆腐」。豆腐とはまた違った独特の食感で、そのまま食べるのはもちろん、タレを工夫したり胡麻の風味を活かしておかずにアレンジしたりといろいろな使い方でよりおいしく味わうことができます。
今回は、胡麻豆腐を使った夏のおもてなしにもぴったりなおすすめアレンジをご紹介します。

胡麻豆腐とおせんべいでおもてなしの一品!

シンプルな材料で作られる滋味豊かな胡麻豆腐は、精進料理の代表的なひとつですが、滑らかで濃厚な口当たりは、上品な味わいでおもてなしの最初の一品となる前菜にも使えておすすめです。

今回ご紹介する一品目は、手作りの甘味噌タレを準備しおせんべいを敷いたうえに胡麻豆腐を盛り付けるアイデアです。胡麻豆腐をワンランク上のおもてなしメニューに仕上げるオシャレなレシピです。

甘めの味噌タレはお子さんでも食べやすく、お好みの量を自分でかけることで楽しみが広がります。また、サクサクしたおせんべいと一緒に食べると、食感の違いを楽しむことができます。

時間が経つとおせんべいがしけるため、準備だけ済ませておき、食べる直前に並べることをおすすめします。お盆行事や和のおもてなしなどにぴったりなのでぜひ試してみて下さい。

【材料】(4人分)
胡麻豆腐 1個
せんべい 4枚
黒胡麻(飾り用) 適量

<甘味噌タレ>
白味噌 大さじ1
酒 大さじ1
みりん 小さじ1
砂糖 小さじ1

【作り方】

1.胡麻豆腐は水で濡らしながらパックから出し、4等分に切る。

2.耐熱容器に甘味噌タレの材料をすべて入れて混ぜ合わせ、ふんわりとラップをかけて電子レンジ(500W)で20秒ほど加熱し、さらによく混ぜる。

3.供する直前に、せんべいの上に(1)をのせ、黒ゴマをトッピングして(2)を添える。

胡麻豆腐と青菜を和えてコクのある白和え風に

もう一品は、胡麻豆腐のコクを活かした白和え風の小鉢です。豆腐で作ると水っぽくなりがちな白和えですが、胡麻豆腐を潰しながら混ぜることで濃厚な味わいを楽しむことができるうえ、作り方も簡単なのでおすすめです。

ホームパーティーの最初の一品としてお出しするなら、小さなガラスの器などに盛り付けるとおもてなし感がアップします。

また、胡麻豆腐はレンジ加熱することで、よりやわらかくなるので、調味料とも混ぜ合わせやすくなります。様子を見ながら温め、加熱しすぎには注意しましょう。

今回は小松菜を使いましたが、ほうれん草や春菊、水菜で作ってもいいですね

【材料】(4人分)
胡麻豆腐 1個
小松菜 1束
ニンジン 1cm程度
白だし 大さじ1と1/2
砂糖 小さじ2

【作り方】

1.小松菜は長さ5cmに切る。ニンジンは千切りにする。それぞれ熱湯でゆで、冷水にさらして水気を切る。

2.胡麻豆腐をボウルに入れ、電子レンジ(500W)で30秒ほど加熱する。

3.(2)を崩しながらなめらかになるまで混ぜ、白だしと砂糖を加える。

4.(1)を加えて混ぜ合わせ、器に盛る。

胡麻豆腐は奈良発祥の精進料理

胡麻豆腐の原料は、胡麻、葛粉、水ととてもシンプルです。豆腐の原料である大豆は使用していませんが、食感や見た目が豆腐と似ていることから「胡麻豆腐」と名付けられたと言われています。

胡麻豆腐の作り方は、炒った胡麻の皮をむいてすりつぶし、鍋に水と葛粉とともに入れて煮溶かしていきます。もっちりとなめらかな口当たりになりなるまで丁寧に練り上げたら型に流し込み、冷やして固めて作ります。

奈良県吉野地方は、古くから上質な葛粉の生産地として知られ、吉野葛は奈良県の地域ブランドでもあります。植物の葛の根から取り出したでんぷんが原料の葛粉を使うことで、胡麻豆腐は独特の弾力となめらかな食感に仕上がると言われています。

植物由来の原料のみで製造される胡麻豆腐は、精進料理の代表的な存在であり、古くから修行僧の貴重なタンパク源として受け継がれてきました。

栄養豊富で胡麻の深いコクを堪能することができる胡麻豆腐は、シンプルにわさび醤油で食べるほか、とろけるようななめらかさ舌触りはまるでプリンのようで、最近ではスイーツのように蜜をつけて食べるなどいろいろな食べ方で楽しまれています。

参考サイト:胡麻豆腐のこと 胡麻豆腐 濱田屋

まとめ

胡麻豆腐のなめらかな食べ心地を活かした一口サイズの前菜と、コクと風味をしっかり堪能できる小鉢メニューをご紹介しました。

どちらも和食のおもてなしの前菜にぴったりで、お子さんでも食べやすい甘めの味付けです。お盆や夏休みで家族が集まるおもてなしの食事でぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。