太巻きは、ファストフード的に食べられる庶民的な商品。例年、節分になると恵方巻きにスポットが当たるが、日常では、スーパーでも買えるごちそう感が薄い寿司という印象だ。高槻市にある「巻ろまん本舗」の巻き寿司は、そんなイメージを一掃する商品。具がたっぷりのぜいたく感ある品として、多くのファンを集めている。

わが家の巻き寿司を商品化

高槻市は、大阪と京都の中間にあり、ベッドタウンとして人気の中核市。飲食店は、阪急高槻市・JR高槻駅周辺に集中しており、圏外で人気店になるのは難しいのが実情だ。しかし、駅からバスで約10分の住宅地にありながら、「行く価値あり」と評判なのが同店。巻き寿司1種類のみの、テイクアウト専門店である。

同店の巻き寿司は、ご飯は少量で具がぎっしり。具材はそれぞれが大きく、まさに“半端ない”のフレーズが浮かぶ姿だ。内容は、厚焼き卵・高野豆腐・干瓢・椎茸・キュウリと、いたってシンプル。海鮮などの派手な具材は入れず、素朴さをウリに勝負する。

巻き寿司650円(税込み)それぞれの具がビッグ!

「自分がコメの多い巻き寿司が好きではなく、家庭でもこの巻き寿司を作ってきました。わが家の巻き寿司を商品化しようと、何年もかけて開発したもの」と吉井収店主。高野豆腐はメーカー品だが、その他の素材は産地から探し、味を確認して厳選している。

具材の中でも、味のアクセントとして重要な役割を果たすのが、半割りで使用するキュウリ。「食べた後に濃い味が残ると、次々と食べにくい。干瓢や椎茸の方から食べ進み、最後にキュウリで味を中和させることで、もう一つ、と手が伸びる」。キュウリの大きさや配置は、飽きずに食べ進むための工夫である。

巻くポイントは、巻き込む角度と力の入れ具合。ご飯が少ないので、力を入れすぎると破れやすくなる

また、主役的存在の厚焼き卵は、甘口でしっかりした口当たり。調理のポイントは火加減だ。最適な弱火で40分~45分かけてじっくりと焼き上げることで、しっとり感と食べ応えある食感を実現している。

恵方巻きは1ヵ月前には予約で完売

同店は家族4人で運営。1本から50本買う人まで客単価は幅広く、家庭用の他、地域の催しの食事や通夜振る舞い、手土産など、さまざまなシーンに重宝されている。午前11時ごろのピークが過ぎても次々と来店があり、昼すぎには売り切れることも。

また、節分の恵方巻きは、例年、正月明けには予約で完売になる人気。節分の前日から、全員が徹夜で製造して対応しているという。口コミで評判が広がり、遠くから買いに来るリピーターも多いが、「店を増やすつもりはなし。この味を変えずに提供していきたい」と吉井さん。地域に根を張り、家族で期待に応えていきたいと話す。

住宅地にある〝知る人ぞ知る〟店

●店舗情報
「巻ろまん本舗」
所在地=大阪府高槻市安岡寺町1-14-8
開業=2011年11月
坪数=約10坪
営業時間=9時~売り切れ次第終了。水曜休

◇外食レストラン新聞の2019年3月4日号の記事を転載しました。