ひとつ間違えると命にも関わりかねない食物アレルギー。原因となるアレルゲンを徹底的に料理から除去しなくてはなりません。食物アレルギーを抱える子どもたちはきっと「みんなと同じものが食べたい」と願っていることでしょう。自分だけが周りと別のものを食べるというのは、身を守るためとはいえ、寂しいものだと思います。
そこで今回は、牛乳・乳製品アレルギーの子がいる家庭でも、家族みんなで同じ料理を楽しむことができる、牛乳の代わりに豆乳を用いた丼をご紹介します。

無調整豆乳であんかけ丼

以前仲間と「クリームシチューはご飯に合うか」とか「松屋(飲食チェーン店)で期間限定のクリームシチュー定食を頼んだら、みそ汁が付いてきて驚いたけど、意外に合う」などと、他愛もない雑談に花を咲かせていると、「うちではクリームシチューをカレーライスのようにご飯にかける」という人がいて驚きました。さらに驚いたのは、「うちもやってるよ」と、それに賛同する人が多かったのです。

それが、「シチューの牛乳を豆乳に代えて、ご飯にかけるあんかけにしてみよう」と発想するヒントになりました。わが家では、かなり好評です。高齢の母はいたく気に入っていました。

豆乳は、私は「無調整豆乳」を用います。無調整豆乳はJAS規格により、原材料は大豆と水だけと決められています。無調整豆乳の原材料名をご覧ください。

一方、調製豆乳の原材料名はこちらです。

もちろん、調製豆乳に「体に悪い成分」が入っているわけではありません。豆乳を飲みやすくするために考えられた材料です。しかし私は、料理に使う場合は、無調整のほうが合うように感じてしまいました。

ちなみに、無調整豆乳は「整」、調製豆乳は「製」の字を使うことに決まっています。昔、日本豆乳協会の方に教えていただいて初めて気付きました。

【材料(3人前)】
えび 6尾
絹厚揚げ 1枚
菜の花 1把
グリーンアスパラガス 3本
にんじん 中1cm
玉ねぎ 小1個
しめじ 1/2パック
豆乳(成分無調整) 2カップ
塩 小さじ1
こしょう 少々
水溶き片栗粉 大さじ3

【作り方】
1.えびは殻を剥き、背中に包丁を入れて、背わたがあったら取り除く(えびはバナメイえびを用いましたが、何でも結構です)。絹厚揚げは6等分、菜の花、グリーンアスパラガス、にんじん、玉ねぎは適当にカットし、しめじは小房に分ける。

2.鍋に豆乳を沸かし、(1)のえび以外を入れ、塩・こしょうで調味する。えびは固くなりすぎないよう、最後に入れる。ご飯にかけるので、塩味は味見してやや濃いめくらいがよい。

3.水溶き片栗粉でとろみをつけ、皿に盛ったご飯の上からかけて完成。

いかがでしょう。豆乳は植物性たんぱく質で、イソフラボンも含むことで、働くママの健康をサポートすることが期待できます。栄養素のバランスも良い一品です。

ご飯にかけるあんにしたので塩分は少し強めですが、ご飯にかけずシチューにするなら、もう少し塩分を控えめにしてもよいでしょう。

また、今回春が旬の食材である菜の花やグリーンアスパラガス、新玉ねぎを用いたので「春の豆乳あんかけ丼」と名付けました。

食物アレルギーは悩ましい問題

食物アレルギーというのは、悩ましい問題です。わずかな量のアレルゲン(アレルギーを引き起こす原因物質)を食べただけでもひどい症状が起こり、場合によっては「アナフィラキシー・ショック」という、命の危険に関わるショック状態を招くこともあります。にもかかわらず、当事者や家族以外はアレルギーに無知・無関心であることも多く、単なる好き嫌い、わがままだと勘違いして、親から連絡を受けていたにもかかわらず児童に食べることを強制した教師もいたと言います。

また、アレルギーの度合いによっては、アレルゲンを調理した鍋を洗ったうえで、アレルゲンを含まない料理を作ったのに、その洗った鍋にわずかに残ったアレルゲンでアレルギー反応を起こしてしまうこともあるため、アレルギー専用の別鍋が必要なこともあります。調理をされる方の心労は大きいと思います。

今後アレルギーの医学が進歩して、アレルギーを抱える皆さんが自由に食べたいものを食べられる日が来ることを願ってやみません。