スイス滞在中にフォンデュを1週間食べ続けたこともある、チーズ好きの料理研究家・松本葉子です。さて、タイトルにある「ハイジのチーズ」は、アニメ「アルプスの少女ハイジ」に登場したチーズの食べ方。放映後45年も経つ現在もネットなどで「ハイジのチーズ」という言葉をよくみかけるほど人気があります。
成城石井で販売されているチーズ「ラクレット」を使って、日本の子どもたちはもちろん、大人にとっても憧れだった「ハイジのチーズ」を再現してみませんか?

「ハイジのチーズ」とラクレットのおいしい関係

「ハイジのチーズ」と聞いて「あー、あれ!」と思う人はそれなりの年齢かも。ご存じない方のために簡単に説明すると、アルプスの山小屋で、ハイジのおじいさんが薪の火で炙って溶かして、黒パンにかけてくれるチーズなんです。

まだ輸入チーズはもちろん、溶けるチーズですら一般的ではなかった頃、衝撃ともいえるほどおいしそうな場面でした。

ところで、スイスには、「チーズに熱を加えて溶かして食べる」有名な料理が2つあります。ひとつは鍋の中で煮溶かしたチーズに串に刺したパンをつけて食べる「フォンデュ」、もうひとつが直火や専用ヒーターなどで炙って溶かしたチーズを、ゆでたじゃがいもなどの上にかけて味わうラクレットです。

後者ラクレットの「かたまりのチーズを熱して、とろとろになった部分をそぎとってなにかにかけて食べる」という様子から、ハイジのチーズ=ラクレットと言われることが多いんですね。

パッケージにもじゃがいもにチーズがかかってる様子が。添えられているのは焼きトマトと生ハム?

ところでこの「ラクレット」はフランス語ですが、チーズの名前であり料理名でもあるんです。少しわかりにくいので、ここからは材料としてのラクレットは「ラクレットチーズ」と書きますね。

成城石井のラクレットチーズは形も風味も使いやすいのがなにより

今回、成城石井で手に入れたラクレットチーズはこちら。成城石井のサイトでは、「フランス ル スティック ラクレット スライス」という名称になっていて、フランスのLE RUSTIQUEというメーカーのものです。

「え?スイスのチーズじゃないの?」と思うかもしれませんが、スイスだけでなくフランスのアルプス地域にもフォンデュやラクレットを提供するレストランは多く、またパリなど都市部の家庭でもラクレットは冬の料理としておなじみのもの。だからフランス製のラクレットチーズも多いんです。これもそのひとつですね。

パッケージには、「山のミルク使用」「クラシックスタイル」「皮なし」などの表記があります。

パッケージを開けるとこんな感じ。厚いスライスが重なっています。

そもそもラクレットチーズは円形の大型チーズで、チーズ店では切り売りされるのが一般的ですが、家庭用ラクレットグリル(ヒーター)の形に合わせてこのようなスライスもたくさん発売されています。

7cm×6cm×4mm程度のスライスが16枚入っていて、今回は1390円で買えました。高いって思います? でも400gなのでかなり食べ応えがありますよ。もちろんレストランでラクレットを食べるよりはずっとお手軽。

また、ラクレットチーズは基本、熱を加えて味わうチーズで、結構クセが強いものも多く、特に溶かすと独特の香りが際立ちます。

でもこちらのラクレットチーズは、チーズの旨みは十分ながら香りはかなりマイルド。個性の強いチーズが好みの人にはちょっと物足りないかもしれませんが、外国のレストランでラクレットを食べて「香りがダメだった」という人もこれなら大丈夫でしょう。

ラクレットグリルやヒーターがなくても、卵焼き器があればうまくいく!

ラクレットチーズは熱で溶けやすいけれど再び固まるのも早いので、少しずつチーズを溶かしながら楽しむ料理です。でも、ハイジのおじいさんの山小屋みたいに家の中でたき火をするわけにもいかないし(そもそもかたまりのチーズじゃないと焚き火では炙れない)、日本では、暖炉やラクレットグリル(ヒーター)があるおうちも少ないでしょう。

そんな時に大いに役立つのが卵焼き器です。家庭用にスライスしたラクレットチーズの場合、「フライパンで溶かす」という人も多いようですが、焦げ付き防止加工してある卵焼き器を使えばもっと簡単に「溶かしてかける」ができます。

熱々とろとろのチーズをたっぷりじゃがいもやパンにかければ子どもたちも大喜び間違いなしですよ!

卵焼き器なら、フライパンよりも四角いスライスが並べやすく、溶かしやすい。

しかも、溶けたチーズをじゃがいもやパンにかけるのが簡単。

まずはラクレットの王道、ゆでじゃがいもにかけてみましょう。じゃがいもは男爵のようなホクホク系よりも、メイクイーンなどねっとり系のほうがよく合います。ピクルスを付け合わせにするとぐっと本場の雰囲気が増しますよ。

ミルキーなとろとろチーズとじゃがいもの相性は抜群。いくらでも食べられます。

食べやすいラクレットチーズは子どもたちの好き嫌い克服にも役立つ?!

成城石井で扱っているラクレットチーズは、ミルクの風味が豊かでクセが少ないので、子どもにも喜ばれるチーズです。

調理にお酒を使うフォンデュとは違い、ラクレットはチーズを溶かすだけなので子どもも食べられますし(だからハイジも食べていた)、とろっとろに溶けたチーズをかけることで子どもが苦手な野菜や魚がおいしく食べられることも。

知り合いのお子さんはブロッコリーが嫌いだったのに、ラクレットチーズがけを試してから好きになれたそうです。

また、スパイシーなカレーを子ども用にリメイクしたいときにも、この成城石井のラクレットチーズはおすすめ。溶かしたものをかけてもよし、盛り付けてからチーズをのせてレンジにかけてもよし。

辛みが和らぎ、ボリューム感も出るので、カレーソースが少ない時にも役立ちますよ。不足しがちなカルシウムが摂れるのもいいですね。

ハイジの話をしながら子どもたちとラクレットを楽しもう

熱を加えることでよりおいしく味わえるラクレットチーズは、いろいろなアレンジができて使いやすいチーズです。

1880年の出版以来、各国語に翻訳され、多くの映画やアニメにもなったヨハンナ・シュピリの「アルプスの少女ハイジ」は、現代の子どもたちにもぜひ知ってほしい名作。

成城石井のチーズ売り場でラクレットチーズを手に入れて、ハイジの世界を子どもと一緒に楽しんでみませんか?