最近は、おせちを手作りするということも少なくなったようです。出来合いのおせちもクオリティが高くなってきて、コスパもよさそうですから、無理して全部手作りにする必要はないかもしれません。
とはいえ、わずかでも手作りの品があると、作る側にも満足感が残るし、家族にも愛が伝わるような気がしてなりません。そこで今回は、手間のかからないおせちのレシピを4点ご紹介します。

おせち料理の意味は

おせち料理にはそれぞれの料理の食材に言葉遊びによるおめでたい意味が込められています。言葉には効力があるという「言霊(ことだま)信仰」の名残です。

また、おせちは味のしっかりついた保存食という要素もあり、正月の間、女性たちが料理にあまり時間をかけなくても済むようにということでもあったようです。

裏を返せば料理を作るのは女性の役割という、かつての考え方も見えてきます。濃い味付けで保存するというのも、冷蔵庫のない時代の名残でもありますね。

上の写真は去年の大みそかに作ったおせちです。黒豆の甘露煮とニシンの昆布巻き、かまぼこ、ローストビーフ以外は私の手作りです。家族四人でおいしくいただきました。

では早速、レシピをご紹介!

牛肉の八幡巻き

八幡巻きはごぼうやにんじんなどの野菜を肉やうなぎ、穴子などで巻いた料理です。ごぼうは細く長いところから、末長く幸せにという意味が込められています。

【材料】
牛薄切り肉…200g
京にんじん(金時にんじん)…20cm
ごぼう…30cm
油…大さじ1
めんつゆ…大さじ1

【作り方】
1.ごぼうを4等分して、10cmの長さに切る。京にんじんもその太さ・長さに合わせて切る。
2.鍋に湯を沸かし、(1)のごぼうとにんじんを10分ほどゆでる。

3.(2)を鍋から取り出して粗熱が取れたらごぼうとにんじんを2本ずつまとめ、牛肉で巻く。

4.フライパンを熱して油をひき、(3)の巻き終わりを下にして中火で焼く。

5.めんつゆをかけ、(4)を転がしながらからめ、水分がなくなってきたら取り出し、等分に切って断面が上になるように盛り付けて完成。

味付けはめんつゆだけなので簡単です。(4)の工程で牛肉が霜降りで油が余分に出るようなら、キッチンペーパーでフライパンの油を軽く拭き取ってからめんつゆを入れると良いでしょう。

めんつゆでなく、ちゃんと調味したいということでしたら、砂糖小さじ1、酒大さじ1、みりん大さじ1、醤油大さじ1を目安にしてください。

酢れんこん(酢ばす)

れんこんは穴が空いていることから「先が見通せる」という意味で縁起が良いとされています。調理前に10分ほど酢水につけておくと真っ白に仕上がります。その工程を省くとポリフェノールの作用で紫っぽい仕上がりになりますが、気にならないということならそれでも構いません。

【材料】
れんこん…10cm前後
酢…大さじ4
水…2カップ(れんこんがひたひたで水にかかる程度)
砂糖…小さじ2
塩…小さじ1/3
酢…大さじ2
水…1/2カップ

【作り方】
1.れんこんの皮を剥き、5mmほどの薄さの輪切りにし、ボウルに入れ、酢と水をひたひたになるくらいに入れ、10分ほど浸けておく。

2.(1)のれんこんを取り出し、フライパンに入れ、砂糖、塩、酢、水を加えて5分間煮る。写真はれんこんが写らないので落としぶたはしていないが、落としぶたをしたほうが良い。

3.取り出して器に盛って完成。

れんこんはシャキシャキした歯応えを残したいので5分くらいがちょうど良いです。酢は加熱するのでツンとした酸味が飛んでマイルドな酸味です。酸っぱいものが苦手な人でもおいしくいただけます。仕上げに軽く白ごまをふってもおいしいです。

二色叩きごぼう

ごぼうには「末長く幸せに」という意味が込められています。通常は白ごまか黒ごまのどちらかだけで作るのですが、ひと工夫して二色のアンサンブルにしてみました。

【材料】
洗いごぼう…1/2本
白ごま…大さじ2
黒ごま…大さじ2
砂糖…小さじ2
薄口醤油…小さじ1
濃口醤油…小さじ1
酢…小さじ2

【作り方】
1.洗いごぼうはさっと洗い、綿棒や空き瓶などで叩いて割れ目を作る(味が絡みやすくなる)。大きさによって四つ割にしたり二つ割にしたりして、食べやすい長さに切る。

2.(1)を鍋で水からゆでる。沸いたら10分ほどゆでて取り出す。

3.二つのボウルか器に二色の和え衣を作る。一方には白ごま、砂糖小さじ1、薄口醤油小さじ1、酢、小さじ1を、もう一方には黒ごま、砂糖小さじ1、濃口醤油小さじ1、酢小さじ1を入れてそれぞれ混ぜ合わせる。

4.(2)を半分ずつ(3)の白と黒の和え衣に入れ、それぞれ和える。

5.それぞれを器に交互に並べて完成。

くるみ入り田作り

田作りは「ごまめ(五万米)」ともいい、かたくちいわしを天日干ししたものを甘辛く調味したものです。昔は大量に獲れたかたくちいわしを田畑に肥料として撒いたことから、「豊作」を願って食べられてきた縁起物です。

スーパーで見かけた、煮干しにピーナッツを加えたおつまみにヒントを得て、田作りにくるみを合わせてみました。田作りとナッツ類は相性が良いことがわかりましたので、オススメの一品です。

【材料】
田作り…1袋(40g)
くるみ…一つかみ
白ごま…大さじ1/2
生姜…1片(チューブ1cm分でも可)
砂糖…小さじ1
醤油…大さじ1/2
みりん…大さじ1
酒…大さじ1
ごま油…大さじ1

【作り方】
1.くるみは粗みじん切りにする。生姜はすりおろす(チューブを使っても良い)。

2.フライパンに田作り、(1)のくるみ、生姜を入れ、弱火で焦がさないように炒る。ごまも加え、いい香りが出てごまが弾けそうになったら火を止める。

3.鍋に砂糖、醤油、みりん、酒を入れ、中火で泡が立ち、とろみが出るまで煮立てる。

4.(3)の鍋にごま油を入れ、(2)を加え、味を絡めながら全体が固まってくっつかないように混ぜ合わせ(油の効果でさほどくっつかない)、器に盛って完成。

いかがでしょう。どれもさほど時間もかからず、調理工程も単純なものばかりです。少しだけでも作ってみて、おせちに家族への愛情を込めてみませんか?