東京都内に3ヵ所目となるワイナリーが誕生し、人気を集めている。「深川ワイナリー東京」は東京・門前仲町に2016年6月にオープン。併設したワインバルでは食事とワインとのペアリングを手頃な価格で楽しめるのが最大の特徴。

門前仲町にオープンを決めた理由は

上野浩輔醸造事業部長は「和食とイタリアンどちらにも合うワイン造りにこだわっている」と強調する。それだけでなくワインの楽しさをさまざまな切り口で提案する「コトづくり」にも力を入れている。

門前仲町にオープンを決めた理由は、ワインの一大消費地である東京であることに加え「下町特有の人懐っこい地域性」があるためだという。上野氏は以前、滋賀県で17年間ワイン醸造とブドウ栽培に携わってきた経験を持つ。バルを運営することで「お客さんとの接点が増え、要望や反応が直接感じられるようになった」と話す。

ワイナリーでは、除梗(じょこう)機や1000Lのステンレスタンク5台を備え、室温19度C、湿度50%に保っている。16年の生産本数は約1万5000本だった。

仕込みの時期である8月末から11月にかけては、1日10人ほどのボランティアを募り醸造体験を行う。「なるべく多くの人に体験してもらいたいから」(上野氏)。参加者からは「つぶしたてのブドウは本当に甘い」「水を1滴も使わないことに驚いた」といった声がよく聞かれるという。

ステンレスタンク5台を備えている

ボトルラベルの前面にはブドウ農家の名前

料飲店向けにはタンク単位の販売を行っている。醸造工程から共同開発することで、味わいの設計を料飲店ごとに構築することができる。1回の仕込みで約2000本が生産できる。

原料ブドウは山形県産シャルドネや山梨県産マスカット・ベーリーAのほか、豪州産メルローなどを使用。国産ブドウは、ワイナリー内で除梗・搾汁を行う。17年の生産は、国産ブドウ使用が2万本、豪州産が約6000本、計2万6000本を計画する。

ボトルラベルの前面にはブドウ農家の名前を表記し、生産者のモチベーションアップにつなげている。

上野氏は「料理人との距離が近いため、料理と相性が良いワイン造りに生かしている」と手応えを示す。

併設したバルからは醸造風景を見学しながら試飲ができる。イタリア料理人が手掛けるメニューが500円から楽しめる。また、月末金曜日のプレミアムフライデーには早い時間帯からにぎわいを見せているという。8月には新たに予約制レストランを増設する計画だ。

「コトづくり」は、ワイン作りの楽しさを伝えるための提案。秋には近隣住民を対象とした「収穫・醸造体験ツアー」を予定する。バルを活用したイベントとして、毎月寿司や発酵食品とワインとの相性提案イベントを実施していく。同ワイナリーの商品は元寿司職人が腕を振るう直営のワインバル「九吾郎ワインテーブル」でも提供している。

◇日本食糧新聞の2017年5月26日号の記事を転載しました。