こんにちは。料理研究家の松本葉子です。和食はヘルシーだっていうけれど、手間がかかって難しそうだし、なにより子どもが喜ばないし…と敬遠していませんか? でも実は、時間がない働くママにも手軽に作れて、子どもの「おいしい!」の声が聞ける和食メニューがたくさんあります!
そんな中から今回は和食の王道・お刺身を取り上げてみます。あ、ご心配なく。魚をおろしたりしませんよ。買ってきたお刺身を子どもも美味しく食べられる方法のご紹介です。

おウチでお刺身を楽しむなら柵(サク)で買うのがおすすめ!

スーパーの刺身売り場にはきれいに切られた刺身と柵(サク)、つまりブロックのままの刺身が売られています。切った刺身はそのまま皿に移すだけなのでなんといっても簡単ですが、できれば柵を買うのがおすすめです。

理由はまず切って時間が経ったものより、食べる前に切った方が断然おいしいこと。そしてお値段的にも柵の方がお得なことが多いから。そして、今回ご紹介する、大人用の刺身と子ども用の刺身に使い分ける時も、柵の方が便利だからです。

柵っていうのはこんな感じです。これはキハダマグロの柵。切り方が難しそう? 大丈夫です。よく切れる包丁を使えば、ぶつ切りや薄切りなど適当に切ってもおいしく味わえますよ。

子どもにとって刺身に醤油をつけて食べるのは至難の業

大人なら、刺身にわさびや醤油を好みでつけて食べるのはごく普通のことですが、子どもにとってはこれが難しい。わさびの辛さは論外として、醤油をつける加減もわからないから、刺身=ぐにゃっとして味がなくておいしくない、ということになりがち。

マグロの柵も大人用ならこんなふうに切って並べるだけでOKですが、子ども用には、ひと手間かけてあげましょう。

「醤油、卵黄、はちみつ」これが子ども用刺身に使うアイテムです。この3つをしっかり混ぜます。分離しやすいのでまず卵黄を溶いて、そこに醤油とはちみつを少しずつ加えて混ぜていきましょう。そしてこれをハケで刺身に塗ります。

卵黄で醤油の辛さがマイルドになり、はちみつがとろみと甘さを加えて、子どもにも食べやすい味になります。

盛り付ける時もたくさん並べず、ちょっと食べてみてもいいかな?って思う数切れに。野菜と一緒に盛り付けるのもいいですね。

この味付けをした刺身、大人にとってもおいしいですよ。例えばこんな感じに盛り付ければオードブルや酒肴としてぴったりなんです。

刺身をおいしく食べるために覚えておきたいテクニック「ヅケ」

「ヅケ」とは醤油ベースのたれに漬けて味をつけた刺身のこと。お寿司屋さんによく行く人ならおなじみですね。

基本のヅケは、醤油、酒、みりん、昆布などを合わせた中に刺身を漬けて味をつけますが、子ども用にも使いたいので、酒やみりんは煮きってアルコール分を完全に飛ばしてから使うか、ナシでいきましょう。その代わりに甘口の醤油があればそれを使うと子どもにもより食べやすくなります。

淡泊さを賞味する白身魚以外はヅケにしておいしく味わえます。おウチ刺身なら、マグロ、鰹、サーモン、甘エビなどがヅケにするのにおすすめですよ。せっかくお刺身を奮発したのに、味がイマイチだったり臭みを感じるといった時にもヅケにしてみてください。おいしくいただけるはずです。

作り方は簡単。刺身を醤油(だし昆布があれば加えておくと良いです)に5~10分程度漬け込むだけ。甘みのある醤油を使うならもう少し長く漬け込んでもOKです。

またヅケにしておくと生のままより保存性が良くなるので、食べきれなかった刺身をつけておくのもおすすめです。ただし、長時間漬ける場合は醤油だけだと塩味が強くなりすぎるので、煮きった酒やみりんなどを加えたほうがよいでしょう。

ヅケはそのまま刺身と同様に味わうほか、ネギ、大葉、ゴマ、海苔などの薬味を添えてヅケ丼にするのもおすすめ。

といってもこれは大人の場合。

子ども用には、葉もの野菜か海苔の上にご飯を少しのせて、その上に角切りにしたヅケをのせ、手で食べられるようにしてみましょう。角切りにした大根やマヨネーズを添えるのもいいですね。

まとめ

DHAやEPAなどが豊富に含まれる魚は、子どもの健やかな成長のためにもぜひ食べさせたい食材。和食献立の華ともいえるお刺身も、大人のおかずと決めつけずに、子どももおいしく味わえるアレンジを試してみてください。

スーパーで買ってきたお刺身もママのほんのちょっとしたひと手間でぐっと味わいが増して、子どもが魚好きになるのに役立つことうけあいです。