さいたま市浦和区の「中華楼」は1967年創業の広東料理店。菊地克己店主は3年前、「野菜差別化」と「地産地消」の両立を目的に、さいたま市岩槻区の農家が作る「ヨーロッパ野菜」を採用した。中欧折衷の話題性もあり、いまや地元では「ヨーロッパ野菜の中華料理店」として認識を新たにしている。

埼玉の「地元野菜」に関心

多くのヨーロッパ野菜を使う中、お気に入りはスティック状のカリフラワー「カリフローレ」だ。長く伸びた花茎には、軟らかくほんのり甘みがあり、軽く上品な食感が特徴だ。

菊地店主は「カリフラワーやブロッコリーはゴワゴワした食感で存在感が強い。カリフローレはサクサクした軽い食感で後に引かない。合わせ素材の持ち味も生きます」と語り、「フカヒレや燕の巣など中華の高級素材は無味無臭が多く、スープを用いた調味が料理人の腕の見せ所。カリフローレもその感覚ですね」と説く。

「カリフローレタンメン」900円
ヨーロッパ野菜の具材はカリフローレ、ロマネスコ、スイスチャード

ヨーロッパ野菜を採用した効果は年配客の増加に表れている。地元野菜に関心を持った女性が男性客を連れてくる姿が目立ち、老夫婦の常連客が増えているという。

「この周辺は意識の高い住民が多いためか“地元野菜”というキャッチに敏感ですね」と菊地店主。「中華料理店は世界中に散らばり、それぞれが地元野菜を使って地域に根を張っています。当店も地産地消を掲げてこの地に根付きたい」と意気込みを見せている。

●店舗情報
「中華楼」さいたま市浦和区常盤10-9-13

◇外食レストラン新聞の2017年5月1日号の記事を転載しました。