18年の夏は、全国各地で猛暑日が続き観測史上過去最高の暑さを記録した。例年であれば、気温が高くなると菓子需要は落ち込むが、今夏は異変が起こった。記録的な猛暑によって熱中症の危険がある中、外出を抑え冷房の効いた室内で過ごすことが多くなったことで、いわゆる「巣ごもり消費」が発生し、これが菓子の消費を伸ばしたようだ。菓子のカテゴリーにより差はあるが、大手菓子卸幹部が「高温で菓子需要が伸びたのは初めてで7~8月の業績に好影響を与えた」と語るように異例の事態だ。

9月2週に入り、気温も落ち着く中、菓子秋季商戦がスタートした。注目は、菓子カテゴリーで最大のボリュームを持つチョコレート市場の動向だ。

17年の市場規模が5500億円で5年で約1000億円伸長したが、18年に入り、ソリッドチョコ、特に、健康志向を追い風に伸長を続けてきたハイカカオチョコを中心に伸びに鈍化傾向が見られ、踊り場を迎えたとする見方が多い。

ただ、健康志向チョコ市場をけん引するブランド「チョコレート効果」を展開する明治は、未購入層や「習慣化」していない層などアプローチ層のボリュームが大きいことから今後、市場の拡大余地は大きいと分析する。

事実、8月11日に情報バラエティー番組で、チョコレートの健康効果に関する情報が放映されると「チョコレート効果」の売上げは急速に伸長したという。18年秋季商戦、メーカー各社は、「健康」「高付加価値」戦略を深耕し、踊り場からの反転攻勢をかける。

◇日本食糧新聞2018年9月12日号の記事を転載しました。