8月半ばに梅の漬け込みが終わり新ものが出始め、生産・出荷が最盛期を迎えた。今夏は梅雨明けが早く猛暑となったこと、TV番組で高血圧予防、血糖値上昇抑制など多くの健康効果が取り上げられたことで、梅干し類の売れ行きは漬物業界始まって以来の大幅な伸長となっている。国産、小梅、中国産と梅干し製品全般の引き合いが強まった。

7月は前年比50~80%増 小梅やカリカリ梅も好調

前年まで2年連続の不作だった一方、ダイエット効果などがメディアに取り上げられ、好調な売れ行きが続いてきた。メーカーにヒネ在庫がないことが、今後の懸念材料でもある。

卸は「不作だった昨年の1.5~3倍供給しているが欠品が続いている量販店もある」という。メーカー側は「出荷調整しているわけではない。調味タンクのキャパがいっぱいになっている」「残業もしているが倍も生産はできない」と話す。

7月の量販店は前年比50~80%増で推移したという。業務用も、暦上では11日から旧盆休みまで6連休となることから注文が多かった。小梅、カリカリ梅も好調だ。小梅は例年の3~5倍売れているというメーカーもある。例年は8月に入ると落ち着くというカリカリも7月後半から熱中症対策で伸ばした。

主産地の和歌山の生産状況は、南高梅は平年比13%増、小梅が平年比24%増で、南高梅は前年と比べると44%増といわれている。在庫は今夏の需要期で消化され、価格訴求品は特に厳しい状況になっている。

農家が塩漬け、天日干しまで加工してメーカーに入るが、漬けきれずに青果で出し、メーカーが漬ける量が増えている。300万~310万タル(1タル=10kg)あると推定され、農家が200万タル、メーカーが100万タルと見られる。

山梨・長野の小梅は2、3割増だが、ここ数年は在庫が減少している。分母が小さいため、売れ行き好調な状態が長く続くと、簡単にひっ迫しかねない。

産地で豊作になっても、農家の高齢化と減少で収穫しきれず、工場に入らないまま捨てられる原料もある。
中国産は12万t弱の平年作。小玉傾向で、Mサイズ以下が多い。古くからの産地は手入れが悪く、産地によって品質にばらつきがある。価格の相場は当初予想よりは安定している。

16、17年と不作が続いていたためA、B級の在庫はない。日本国内の販売状況が好調なことから新ものに対応している。出荷量は不作だった前年の1.5~2倍となっているもよう。8月後半から9月に価格が出る。

◇日本食糧新聞2018年8月20日号の記事を転載しました。