にんべんは9月から、俳優の速水もこみちと共同開発した「アクアパッツァ」などのメニュー用調味料を発売する。速水は高い料理技術で知られるが、一般量販店向け商品を手掛けるのは初めて。スパイス・調味料の別添、料理のコツ満載のレシピなど従来なかった価値を詰め込み、簡便・本格感を両立した。プレミアム消費を喚起して配荷5000店、売上げ2億円と従来の新商品と比べて倍増以上の目標を達成する。「フレッシュパック」「つゆの素」に続く第3の柱に育てる。

速水とコラボ開発したのは4品。「アクアパッツァ」は白ワインを加えて爽やかに、「ボルシチ」はビーツを使い、酸味の効いた本格的な味わいに仕上げた。「イタリアンソテー」は速水一押しという和洋折衷メニュー。

「クリームチャウダー」は玉ネギの甘みと白コショウで深みを出した。(各2~3人前、280円)。用意するのはタラや牛肉、トマトといった普段使う生鮮品。10分ほどのフライパン調理でおしゃれなレストランメニューができる(煮込み時間を除く)。

速水はTVの人気情報番組の料理コーナーのレギュラー出演で知られるが、監修商品はレシピ本、調理器具、高級オリーブオイルなどにとどまる。にんべんは速水を17年3月から企業アンバサダーに任命。

「日本橋だし場」の直販メニュー開発などを経て、全国ブランドの協業に至った。開発は女性社員チームが主導。アイデア出しから原料選定と配合、調理、味見、シズル撮影まで速水と一緒に行った。

シリーズ名は「だしとスパイスの魔法」とし、鰹節だしとオレガノ、バジルといったスパイスの組み合わせの妙を伝える。専用調味料でスパイスを添付するのは本格麻婆の花椒くらいで珍しい。だしで食材本来の味わいを生かし、スパイスでさらにうまみを引き立てる。

レシピは食材の切り方や焼き方のほか、スパイスを炒め油になじませるといった手順を裏面イラストで紹介。スパイス使いで失敗しそうという不安を解消し、料理上手になるコツを伝え、作る楽しさを演出する。

売価150円ほどのレギュラー品ばかりで停滞感を強めている市場へ、従来なかったプレミアム商材を提案する。秋から久しぶりのTVCMを1000GRP投下する。

◇日本食糧新聞2018年7月11日号の記事を転載しました。