アジアバリスタチャンピオンシップで準優勝、国内大会でもファイナリストに残るバリスタが何人もいる、スペシャルティコーヒー専門店Unir(ウニール)。2016年1月、本店を京都府長岡京市内で移転し、コーヒー豆の焙煎や販売だけでなく、カフェやスイーツ工房などを始めた。今回は「お子さまランチ」ではなく、大人とおかずをシェアする「シェアセット」というユニークな発想のメニューを紹介する。

子どもがいるスタッフの声がヒントに

オープン当初、子どもメニューはなかった。食事は、週替わりで内容が変わる「Unirの畑の見えるお昼ご飯」(1500円)のみ。ところが、予想以上に子ども連れが多く、何度か「子ども用はないですか?」と聞かれる。「キッチンの設備やスペース、人手は限られています。本当に悩みました」と料理人の小林一子さん。

そこで考え出したのが、おかずは親のを一緒に食べてもらい、ご飯とスープを提供するスタイル。子どもがいるスタッフの「ご飯とスープ、ジュースで満足するよ」がヒントになった。考えた末「シェアセット」ができ、6月25日にスタートした。

手前:大人の半分量のご飯とスープの「ピヨセット」。奥:「Unir の畑の見えるお昼ご飯」。木皿の料理は取り分けた状態

長岡京市の畑で作った野菜をたっぷり

シェアセットは、「ピヨセット」と「ポイートセット」(500円)の2種類。ピヨセットは、大人の半分量のご飯とスープ、ジュースの3点。ポイートセットは、大人と同量のご飯とスープ、ジュースにデザートの4点となる。

大人のランチは「Unirの畑の見えるお昼ご飯」(1500円)のみ。40食限定でほぼ毎日完売。週替わりでメニュー内容が変わる。主菜は、肉と魚を交互、野菜は、同店代表の両親が地元長岡京市の畑で作ったものを使用。野菜を中心にメニューを決め、提供する前週にはホームページやツイッターで告知する。

コーヒーと好相性の食事

駅から少し離れた住宅街にありながら、地元はもちろん、遠方からもリピート客が絶えない同店。スペシャルティコーヒーとは、トレーサビリティーが明確で、生産地の自然環境、生活環境にも目を向け、そして、カップに注がれた時の品質が評価されたコーヒーのこと。

信念あるコーヒー店のカフェだからこそ、食事も、生産者が分かる素材を使い、コーヒーの味も香りも邪魔しない。「妊婦さんや子連れの方に、リピートしてもらえるのがうれしい。素材のおいしさを安心して、ゆっくり味わってもらえたら」と小林さん。コーヒーだけでなく、食事のファンも増えている。

●店舗情報
「Unir(ウニール)本店」 経営=ヒサシヤマモトコーヒー/所在地=京都府長岡京市今里4-11-1/開業=2006年4月29日/営業時間=午前10時~午後7時(L.O.6時30分)、ランチ午前11時30分~午後2時30分/坪数・席数=カフェスペース50坪(駐車場を含む本店全体300坪)・42席/1日平均客数=70~80人/平均客単価=約1,000円

◇外食レストラン新聞の2017年4月3日号の記事を転載しました。