石川県金沢市のお隣にある河北郡在住の北陸家庭料理研究家・大象みかです。金沢市と加賀地方の鶴来地区では、大根寿司という漬物を冬に漬けて食べます。大根とにしんを使うのが一般的ですが、魚はぶりや鯖を使うこともあります。そのまま食べたり、ご飯と一緒に食べたり、お茶づけにしたり、またお酒のおつまみとしてどうかなど、いろいろな食べ方を紹介します。

大根寿司は寿司なのか漬物なのか?

大根寿司という名前から、「お寿司なの?」と思う方もいらっしゃるでしょう。大根寿司は、塩漬けした大根や身欠きにしんを、糀を入れて漬け込んで乳酸発酵させた「なれずし」です。それで寿司という名前がついていますが、金沢では冬の間の漬物として家庭で漬けます。

写真は、ぶりが挟んである大根寿司です。スーパーではこのような形で売られています。人参も入れることがあります。

大根寿司は各家庭によって材料も違ったり、作り方もそれぞれ違いがあります。たくさん作って、近所の人に配ったり、交換したりもします。母から娘へ作り方を教えたり、また、嫁いだ家の作り方を覚えたりします。

大根寿司と似たもので、「かぶら寿司」という名前を聞いたことがあるかもしれません。かぶら寿司は、かぶに切れ込みを入れて、ぶりや人参を挟み、大根寿司と同じように糀で漬け込んだものです。かぶら寿司の方が少し高級で、贈答品として使われたりします。

大根寿司はそのまま食べてもおいしいですが、今回は金沢の名産品である大野の醤油をつけたり、温かいご飯と一緒に食べたり、お茶づけにして味わってみたりしたいと考えました。また、お酒のおつまみとしてどうかも試してみます。

大根寿司には大野の醤油もお勧めです!

まずは大根寿司を何もつけずに味わってみます。糀本来の甘さと発酵による酸味が合わさって、まろやかでクリーミーな味が楽しめます。大根のシャキシャキ感とぶりの旨味が直接伝わってきますね。

大根寿司に人参を入れると彩りも綺麗になりますが、食べると人参のほのかな甘みが感じられます。

金沢市大野町の醤油をつけて食べてみます。我が家では醤油をつけてよく食べています。醤油のコクが糀や大根、ぶりに伝わり、味に深みが出ました。醤油のまろやかな塩味と糀の甘みと発酵による酸味が合わさって、絶妙な旨味を感じることができます。

大根寿司はご飯とも相性抜群!

大根寿司を食べていると温かいご飯が欲しくなります。ご飯と一緒に食べてみると、塩漬けした大根の味とほかほかのご飯がよく合います。これは朝食にもいいですね。

大根寿司は大人だけの食べ物ではありませんね。白いご飯と一緒だと、子供もパクパク食べそうな感じがします。実際、私は幼少の頃から大好物です。

大根寿司はお茶づけにも合うかもしれないと考えて、大根寿司を乗せてお茶づけにしてみました。ご飯の上に海苔も散らしてあります。お茶は我が家では加賀棒茶を使っています。

大根寿司の糀が少し加賀棒茶に溶けて、甘みが広がります。大根の歯触りとお茶づけにしたご飯の軟らかさの両方が楽しめます。海苔を加えることによって、磯の風味も感じられます。

食欲が落ちている時でも、サラッと食べられそうです。冬は温かい棒茶で、夏は冷たい麦茶でも合いそうですね。夜食やちょっとお腹が空いている時に良さそうです。

大根寿司は日本酒・梅酒のおつまみにも!

大根寿司はおかずとしてだけではなく、お酒のおつまみにもどうかと考えました。サッパリとした飲み口の加賀梅酒と合わせると、梅の香りと酸味が大根寿司の甘みとも合います。大根寿司には唐辛子も入っていますから、ピリッとした辛さも梅酒に合いました。

大根寿司は日本酒や梅酒などお酒を飲む人にも好まれそうです。軽く前菜として大根寿司でお酒を飲んで、それからメインの魚や肉料理を食べると食が進みそうです。

我が家の大根寿司を紹介!

これは今年の我が家の大根寿司です。身欠きにしんを使っていて、にしんは大根に挟まずに大根と一緒に漬けています。我が家の大根寿司は市販のものより糀が少し硬めです。

ちゃんと糀の甘みも大根にしみていて、適度な酸味もあります。身欠きにしんはこのまま食べてもいいですし、焼いて食べることもあります。この大根寿司は父方の祖母の作り方で作っています。

大根寿司は、金沢の漬物店で販売されていますし、通信販売でも手に入れることができます。金沢にお越しの際は、ぜひ、大根寿司を食べてみることをお勧めします。