常々、醤油ってなんて凄い調味料なんだろうと思っていて、気になる醤油があるとすぐ買ってしまう調味料研究家の松本葉子です。

塩分の摂取量に注意しないといけない家族がいるため常に食事の塩分量は考えていますが、減塩醤油は使いません。そんな我が家の強い味方が泡醤油なんです。

数年前にテレビ番組で取り上げられてブームになった泡醤油。ほんとスグレモノだと思うので、この機会にもう一度見直してみませんか?

泡醤油=醤油にゼラチンを加えて泡立てたもの

醤油はそのままでは泡立ちませんから(泡がすぐ消える)、安定した泡状にするためにゼラチンを加えるーそれが泡醤油の基本です。

テレビで紹介された材料の分量が定番になっているようですが、実は分量にはさほどこだわらなくても大丈夫です。*ただしゼラチンと水分の比率には注意が必要。

醤油を泡醤油にすると、口に含んだ時、泡の力で味を感じやすくなります。そのため醤油を薄めて使っても良く、それが減塩につながるといわれています。でもそもそも泡状にすることである程度醤油のつけすぎ・かけすぎを防ぐこともできるため、必ずしも醤油を○倍に薄めて使わなければならないというわけでもないのです。

実際、料理店では、醤油をそのまま温めてゼラチンを溶かしてから冷ましながら泡立てるという方法で作っているところもありますし、醤油を薄めない方が色がしっかりでるので盛り付けが映えるという料理人もいます。

とってもカンタンな泡醤油の作り方

<材料>
醤油(「生醤油」でないもの) 10cc
水  30cc~40cc
ゼラチン 1g
80℃の湯 大さじ1

氷水 適宜

★生醤油を使うと酵素の働きで泡立ちにくくなります。最初から冷やすと大丈夫だそうですが、普通の醤油を使った方が簡単です。

★使う醤油の味や、どんな色の泡醤油を作りたいかで水の量を加減してください。ただし、ゼラチンの量が全体の水分量の1~2%になるように調整を

私は醤油20cc 水60~70cc ゼラチン2g 湯大さじ2 で作ることが多いです。これだとテレビで紹介していたものよりやや濃い色合いの泡醤油になるようです。

<道具>
ボウルと泡立て器でOKですが、少量を作る時には網じゃくしも使いやすいです。ただ網じゃくしで泡立てるのは、醤油液の上面をこするように動かしていくというようにちょっとコツがいるので(慣れればカンタンですが)、小さな泡立て器があれば最初はその方がラクかもしれません。

*写真はあく取り用のメッシュなので、もう少し目の粗いものの方が泡立てやすいです。

<作り方>

  1. ボウルの中で醤油と水を混ぜる。
  2. 別容器でゼラチンに湯を加えて溶かす。
  3. 2を1に加えてよく混ぜてから泡立てる。
  4. だいたい泡立ったら、一回り大きなボウルに氷水を入れ、その中に3.のボウルを入れて、ゆるやかに混ぜて泡を安定させる。

*早い時期から氷水で冷やすとぷるんぷるんのムースのような泡醤油ができてこれも使いやすいが、冷やしすぎ・泡立てすぎでぼそぼそにもなりやすいので注意

なめらかに作る場合のできあがりはこんな感じ。

泡醤油の使い方その1:おもてなしTKG

グラスに卵黄を入れ、その上に泡醤油、刻みネギをトッピング。これを熱々のご飯に添えてだし、食べる前にグラスの中身をご飯にかけてもらうようにします。

要するにたまごかけごはんですが、醤油のかけすぎが防げるとともに、玉子や醤油をそのまま出すよりおしゃれな一品になります。

泡醤油の使い方その2:ソース風の盛り付け

和食に添えても映える泡醤油ですが、ソース風に盛り付けても楽しめます。スプーンで流すほか、かために作って絞り袋でしぼってもOK。軽やかな醤油味は洋風料理にもよく合います。

写真は軽くスモークしたカジキマグロのスライスに添えたもの。ふんわりしたソースは魚とサラダの両方につけて味わえます。

多彩に使えて、アレンジも無限大の泡醤油

簡単に作れて減塩効果も期待できる泡醤油は、和洋中どんな料理にも使えます。

普通の醤油の場合、「醤油をつける」「醤油をかける」ですが、泡醤油は「醤油を添える」感覚。たとえば料理に添えて泡をディップして味わうようにしてもいいですし、にぎり寿司にトッピングするなど、素材に直接適量の泡をのせておく盛り付けもおすすめです。

ステーキなど熱い料理に添えて、泡が溶ける様子を楽しむこともできます。

また、使う料理によっては、醤油を水で薄める代わりにだし汁で薄めてもいいですし、ポン酢醤油を泡醤油にしてもいいでしょう。

ぜひお気に入りの割合で作って、いろいろな料理に使ってみてください。