かつては奇抜な味が乱立していた鍋の素も、昨今は素材の味を引き立てる“だし”を重視した商品が多く見られるようになった。“だし”といっても各メーカーがさまざまな素材を採用しており、各商品の個性が光っている。今回は、だしのおいしさを楽しめる鍋の素を比較する。

エントリー1:味の素「鍋キューブ〈10種の野菜だし鍋〉」


▽発売日=17年8月7日、全国▽価格/内容=OP/72g(8個)

▽商品特徴=「鍋キューブ」シリーズ。10種の野菜(白菜、キャベツ、ネギ、ニンジン、玉ネギ、トマト、ゴボウ、セロリ、ショウガ、ニンニク)のうまみが詰まった、琥珀(こはく)色のコク深い味わい。

エントリー2:イチビキ「鶏みそ鍋の素 八丁味噌仕立て」


▽発売日=17年8月18日、全国▽価格/内容=300円(税別)/200g

▽商品特徴=コクのある八丁味噌をベースにまろやかな米味噌を合わせ、三和の純鶏名古屋コーチンがらだし、三河たまりを使用した。化学調味料無添加。

エントリー3:ダイショー「鮮魚亭〈寄せ鍋スープ 甘酒みそ仕立て〉」


▽発売日=17年8月1日、全国▽価格/内容=256円(税込み)/750g

▽商品特徴=「鮮魚亭」シリーズ。ほんのりショウガの風味を利かせた甘酒味噌仕立て。まろやかな甘みの甘酒と米麹白味噌に、鶏、カツオ、昆布のだしを合わせた。魚介系素材を引き立てる。

エントリー4:Mizkan「こなべっち〈焼あごだし鍋つゆ〉」


▽発売日=17年8月3日、全国▽価格/内容=378円(税込み)/29g×4袋

▽商品特徴=「こなべっち」シリーズ。焼アゴを中心に、煮干し、カツオ、サバ、鶏がら、椎茸、昆布、計7種のだしを合わせた。あっさりしてコクがある。

パンチのある味にも注目

試食前は、関東圏では喫食機会の少ない八丁味噌を使った「鶏みそ鍋の素 八丁味噌仕立て」(イチビキ)に注目が集まっていたのに対し、試食後は「こなべっち 焼あごだし鍋つゆ〉」(Mizkan)が高い評価を得た。「あごだしのおいしさが存分に楽しめる」という意見が多く、比較的食べやすい“だしの味わい”に落ち着いたということだろうか。

しかも面白いことに、同品は特に男性から熱い支持を得ていた。いろいろな味を挑戦したい女性陣からは満遍なく全商品に票が入ったのに対して、保守的ともいえる男性陣の8割が同品を選んでいた。

鍋を食べる際に市販の鍋の素を使うかを尋ねると、4割弱の人が「使わない」と回答。その理由に、素材の味が堪能できるシンプルな味の鍋(水炊きや寄せ鍋)が好きだからという意見が多かった。また、かつては奇抜な鍋に挑戦した人からも「やはり普通の味がおいしい」とあり、原点回帰していることが分かる。

そうした点からも、試食後に「こなべっち」に断然票が集まったことは理解できるが、「鶏みそ鍋の素 八丁味噌仕立て」もしっかりと次点につけていた。好みが分かれるパンチのある味だが、初見の人からも「また食べたい」と意見が挙がっていたことは評価に値する。