焼き鮭を食べるなら皮も!新潟での鮭のおいしい食べ方
新潟市在住たべぷろ編集部員・秋山ツクルと申します。年の瀬が近づくと、少しずつお正月の支度をはじめます。私たち新潟人にとって、年越しに忘れてはならない食材が、鮭です。
今回は新潟と鮭の関係について考えました。鮭をテーマとしたならば、有名な村上の塩引き鮭は避けて通れません(笑)。新潟の比較的広いエリアについても視野を広げて参ります。
新潟の年越しに欠かせない鮭
鮭のお料理は無数に見つかります。定番の焼きに始まり、生鮭をムニエルにするのも一般的。汁物やお鍋へ入れるほか、新潟ではお正月の雑煮にも、いくらと一緒に使うことがあります。
今回、お土産としてセットで販売されている商品を用意したところ、有名な「塩引き鮭」と一緒に白子煮が入っていました。甘辛く煮た白子にみずみずしくほろ苦い冬菜がよく合い、日本酒で一杯やりたくなります。
村上では鮭の内臓は「なわた」、心臓を「どんびこ」、中骨を「どんがら」などと呼び、通常なら捨ててしまうこれらの部分も全部おいしく食べます。
この土地が、どれだけ鮭に尽し、鮭に救われて来たかがしのばれます。
新潟のいろんな川に遡上しています
鮭について考察する中で、小学生のころ一度だけ、鮭の稚魚を近所の川へ放流した記憶が(うっすら~と)思い出されました。もしやと思い、調べたところ、鮭が遡上する川は村上市、新潟市にとどまらず、県内全域に50か所を超えているようです。私が稚魚を放流した川にも、近年の遡上データが見つかりました。
そして、新潟の伝説を探すと必ず出てくる有名人?が「かっぱ」。有名な土地が限定的にあるわけではなく、あちこちの地域で伝承やお祭りが見つかるもので、かっぱも案外いっぱいいたんじゃ?なんて気もしてきます(笑)。
ちなみに父から聞いたのですが、私が住む地域にも昔「かっぱ祭り」があったそうです。正直大変びっくりしました。
ではひとつ、一番の有名どころを手短に。
人間にいたずらをしたことを謝ったかっぱが、許してくれたお礼に毎年1本、年越しの鮭を持って来るよ、と言ったそうです。場所は現在の阿賀野市。こちらでも古くから鮭漁が営まれています。
「年末には鮭」。かっぱも意識するくらい、ありがたい品だったみたいです。
参考サイト:
鮭の遡上を確認したデータ、2013年
参考文献(かっぱの伝説について):
新潟の鮭と鉱物資源の民俗 余話 伊藤治子 著 新潟県民族学会
今や地方の一都市に甘んじていますが、ほんの明治までは、新潟には江戸、東京をしのぐほどの人が暮らしていました。
村上で作った塩引きは、1000年の昔から都(京都)へ運ばれると同時に、当然通り道でもある新潟へも渡りました。
新潟の中心地に生まれ育った私の母のソウルフードもまた、「正月だけ食べられる特別な塩引き(鮭)」とのこと。この特別な鮭が村上産だったかどうか、母の両親が亡くなった今となっては確認ができないのが残念です。
年越しに何をおいても手に入れるべき食材が、鮭だったのでしょう。
焼き鮭を食べるなら皮もおいしく召し上がれ!
お魚の皮が苦手、と言う方はとても多いようですが、鮭についてはむしろ皮を食べないなんて、一番おいしいところを捨てているようなもの。焦がさないようパリッと焼いて、ぜひ皮もお召し上がりください。
保存食品なので、塩分は総じて強めです。もししょっぱかったら、食べる分を減らせば良いだけ。家族で分け合ったり、残りはお茶漬けにしてもいいし、ちょっと邪道かも知れませんが、ほぐしてチャーハンにしても絶品です。
こうしたアレンジ料理にもぜひ、皮も刻んで使ってください。香ばしさが生臭みを打ち消します。
今回は、食材が豊富ではなかった時代を意識してみました。母は「正月には、家にあるものを食べるものだ」と言います。というわけで、保存の効く塩引きと、大根、打ち豆のおみそ汁で。
鮭を焼き上げると、嗅いだことのない素晴らしい香りが。「塩引きは発酵食品」と実感できるのは、香りとハムのような肉質、熟成の特徴とも思える濃度の高いうまみを感じるところです。
今回用意したセット品の塩引きは、小ぶりの切り身が使われていました。大ぶりの塩引きのみの販売もあります。
こんなお正月も悪くありません。
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