イタリアン系酒場の締めメニューの定番といえばパスタとピザ。しかしパスタに比べてピザはいまひとつ存在感あるメニューに乏しい印象がある。そうしたピザ劣勢の理由をしっかり見極めて、斬新な改善策を打ち出したのが東京・中目黒の「C.T.Kitchen 亀」の「マルゲリータロール」だ。

手巻き寿司をイメージ、ピザの弱点を克服

商品名に“ロール”とあるように、同品はマルゲリータを手巻き寿司よろしくくるくると丸めたもの。一口サイズの六つにカットされた状態で提供され、フォーク1本で食べやすいのが特徴だ。

フォークで取り上げると中に詰められたトマトソースとチーズが見えて食欲をそそる

「イメージしたのが手巻き寿司。食べやすさと見た目のかわいらしさをピザで表現して女性客の支持アップを狙いました。そこで考えたのが一口で食べることができるサイズに丸める商品メークでした」と齋藤陽平店長は商品開発の経緯を語る。

ピザは通常の円盤形で提供したのではカットしても大きな口を開けてワイルドにかみ切らねばならず、また手づかみで食べるとチーズやソースで指先が汚れやすい。こうした事情が女性客の注文回避につながりやすかったが、同品は見事にピザの弱点を克服したわけだ。

具材の包み方は巻き寿司の要領に近い。半生タイプの極薄ピザ生地を採用して型崩れなく仕上がるようになった

調理工程もユニーク。ピザ生地にトマトソースを横に一筋塗り、その上に横長にカットした加熱用モッツァレラチーズを並べる。次いでシュレッドチーズを足してピザ生地を巻き寿司のように丸めて6等分にカットし、型崩れを防ぐためキッチンペーパーを舟形に成型して固定する。注文を受けたらピザ生地を型ごと250℃のオーブンに入れて4分程度焼き、バジルの葉を飾って完成だ。

保温性アップでおいしさ持続

具材を内側に巻き込んだ状態で提供するため保温性が向上。女性客がおしゃべりしながらでも温かい状態でおいしく食べられる。何より一口サイズなのでフォーク1本でスマートに食べられる。

開発のポイントになったのはピザ生地の選定。「粉からピザ生地を自家製したものだと焼成時に生地が膨らんで型崩れしてしまう。そこでタイプの異なるピザ生地を5種類以上テストした結果、極薄の半生タイプを採用しました」と齋藤店長。

定番のロールピザは同品と「クワトロフォルマッジョロール(1188円・税込み)」の2品。これに「エビクリームロール」や「キノコのクリームロール」といった期間限定メニュー1品を2ヵ月毎に投入。女子会利用のグループ客を中心に高い注文率を誇っている。

木のぬくもりを生かしたスタイリッシュながら落ち着く店内。
●店舗情報
「C.T kitchen 亀」 
所在地=東京都目黒区上目黒1-23-1 中目黒アリーナ204
開業=2016年3月
坪数・席数=18坪・30席
営業時間=18時~深夜3時。無休
平均客単価=4000円
1日平均集客数=50人

◇外食レストラン新聞の2017年12月4日号の記事を転載しました。