今年は仙台藩(伊達藩)の城主・伊達政宗が生まれて450周年なのだそうです。それにちなみ【「政宗ワールド」プロジェクト】なる市民団体が宮城県で設立されました。そして、駅弁にも政宗公・伊達家に関わる世界=「政宗ワールド」を出現させようと、堂々登場したのが「政宗公御膳」!(1200円・日本レストランエンタプライズ)。
なかなか渋い蓋のデザインは、伊達家が政宗公の時代から使用しているという「九曜紋」をモチーフに。満天に輝く9つの星に合わせた格好で、さまざまなおかずやご飯などが入っています。政宗公に関わる地域の料理や逸話を探り、構成されたという細か~~なメニュー設定に「歴女」も大満足間違いなし!

堂々たる蓋を開けてみると、いきなり“文”が?…(お品書きです)

厳かな雰囲気が漂う表紙には、伊達家の家紋「九曜紋」

いまから450年前…1567年――時は、永禄10年8月3日に梵天丸は生まれました。そう、後の伊達家第17代当主・伊達政宗です! 幼少時右目を失明し、眼帯をしているあの「独眼竜政宗」。大河ドラマで渡辺謙が演じたのは、もう30年前なんですね~(覚えている人の年齢がバレます)。

蓋を開けるとお品書きが置いてあります

そんな政宗にちなんで作られた「政宗公御膳」。早速、蓋を開けてみると…三つ折りになった紙が。「すわっ、政宗からの文か???」…いえ、製造元である日本レストランエンタプライズ謹製のお品書きでした。

政宗に関する知識がぐんと増えました

すべてのメニューに対し、わかりやすくかつ丁寧に書かれた説明は、「食べる前も」「食べながらも」「食べてからも」楽しめる内容です。

この駅弁に入っている献立は、すべてが政宗に関連した地域や逸話からヒントを得ています。「どっぷり歴女」さんにとっては「そこからメニューのヒントを得たのね!」とニヤニヤ、「そこそこ歴女」さんにとっては「政宗のことがもっと詳しくなったわ!」と、なること請け合いでしょう!

いざ開封!均等に盛られたおかずが美しい!

8つのおかずの真ん中に、2種類のご飯が盛り込まれています。このバランスが「九曜紋」とうまく合致しており、ここもニヤリとしてしまうポイント。

ご飯は、宮城米を使用した「はらこめし」と「白ご飯+梅干」。さて、ここで例のお品書きを読んでみると、「江戸の相場を左右する標準米であった仙台藩の米。石巻に集積された……(説明はまだ続く)」。歴史の教科書以上の解説なんです!

すべてのメニューの説明がこの調子。ここまで、より具体的に450年前の仙台藩に思いを馳せながら、食べられる駅弁って他にあるのでしょうか!?

さて、いくつかおかずをピックアップしてみましょう。

東北は良質な鮭の産地。将軍家への贈答品にもなっていました

「鮭の仙台味噌漬焼」食べやすいサイズの切り身になっているのも嬉しい

「鮭の仙台味噌漬焼」は、ご当地・仙台味噌で漬けた鮭を焼き上げたもの。鮭は昔から、東北の名産品で、塩漬けの鮭の腹の中に塩漬けの鮭の卵を入れた「子籠鮭」を当時の伊達家は将軍家へのギフトにしていたそうです。ほほ~、それほど自慢できるものだったのですね。

そんな「鮭の仙台味噌漬焼」をかじると…口の中に仙台味噌の風味高い味わいが広がります。また鮭が仙台味噌の塩気(仙台味噌は塩味が強いのです)と融合して、ご飯に合う! 合う! 合う!将軍家に贈るのが惜しいくらいのおいしさです。

なぜか愛媛名物・じゃこ天が…

いきなり愛媛の名物が登場

お品書きの解説は、①「鮭の仙台味噌漬焼」をスタートに時計回りで進みます。ついお箸もその解説通りに進んでしまうわけですが、半分を過ぎたところで「歴女」の方々のお箸は止まるはず。

「なぜ、ここに愛媛名物のじゃこ天が?」

ピンときた方は「どっぷり歴女」さんでしょうか。
そう、伊予宇和島藩の初代藩主である伊達秀宗は、政宗の長男なのです。幼少時に豊臣秀吉の猶子(養子)となったので、名前に秀吉の“秀”が入っています。長男なのに、本家を継ぐことができなかったのよねぇ…などと「じゃこ天」を食べながら、つらつらと秀宗の身を思うのも「歴女」の駅弁体験の一興となることでしょう!

ちなみに「じゃこ天」と共に、宮城岩出山の「凍み豆腐」の煮物が盛り合わせてあり、2つともやさしい味わいにホッとしますよ。

和風なおかずの中に、唯一“西洋”なオムレツ

玉子焼きではなく「スパニッシュオムレツ」なのです

さて、おかずの時計回りも終盤にさしかかって参りました。政宗に関する知識と、宮城県の特産をたっぷり盛り込んだ“和風”なおかずを堪能した最後に出てきたのは、なんと「スパニッシュオムレツ」。え? 西洋おかず?

ここでまたピンときた方は、勘のよい「歴女」さん。

政宗の家臣である支倉常長が、慶長遣欧使節団を率いてヨーロッパに渡航していることにちなんだメニューだったのです! 発想は、常長は1613年から17年までスペインに滞在=「スパニッシュオムレツ」。少し和風に飽きたところに、ちょっと西洋風おかずが差し込まれるのもニクい演出です。といっても、比較的あっさり目のオムレツで、他のおかずから浮く存在ではありません。

「歴女」も「普通の女子」も歓喜! 2種類のスイーツで締めくくり

 

2種類もデザートがあるなんて感激です

駅弁にスイーツのイメージ、ありますか? たま~に栗の甘露煮や、ドライの杏が入っているくらい?

しかし、この「政宗公御膳」にはなんと2種類の、しかも「和と洋のデザート」がしっかり入っていました。

“和”は、ご存じ仙台銘菓「ずんだ」の団子。
“洋”は、先にも出てきました、ローマ市民権をも持った支倉常長が、日本人として初めて食したといわれる「チョコレート」の焼き菓子。

この最後まで気を抜かない政宗デザート(?)で、歴女だけでなく、すべての女子を味方に付けたといっても過言ではありません!

これだけの「うんちく」と「特産」を駆使し、丁寧に作り込まれた「政宗公御膳」。買う前は、正直地味なパッケージデザインに「おじさま」仕様かな~と思っておりましたが、その感想は完全撤回!!! こんなに身も心も満足のお弁当は久々でした!

ひとつひとつのおかずが、九曜紋になぞったしきりに入るサイズになっていたのも、女子的にはとても食べやすかったと、最後に付け加えておきましょう。

こちらのお弁当は、11月30日まで開催している「JR東日本 駅弁味の陣2017」のエントリー商品のひとつ。「駅弁味の陣」は、東日本駅弁の最高峰を決する年に一度の頂上決戦で、実際に駅弁を買った人の投票で「駅弁大将軍(グランプリ)」が決定するJR東日本駅弁業界(?)では名誉をかけた戦いです! みなさんもぜひ参加してみてくださいね。「政宗公御膳」は11月30日までの限定販売ですので、ご購入はお早めに。

オシャレ(カワイイ) ★★★☆☆
コスパ        ★★★★★
ヘルシー       ★★★☆☆
食べやすさ      ★★★★★

※星は5点満点

●販売情報
「政宗公御膳」
価格:1200円(税込)
主な販売駅:仙台駅・東京駅
製造:株式会社日本レストランエンタプライズ 仙台調理センター(022-257-2981)