18年上半期の食品業界では、「ITはなびらたけ」「玄米甘酒」「アカモク」など国産のスーパーフードが新たなブームになりそうだ。日本スーパーフード協会がこのほど発酵食品、コメ類、茶類、藻類、伝統自然食品の各分類でトレンド予測を発表した。これまで捨てられていた栄養価の高い素材や既存の伝統食材を“ジャパニーズスーパーフード”としてカテゴライズし、国内および世界に向けて発信する。

1位は「ITはなびらたけ」

ジャパニーズスーパーフードとは、日本の伝統的な食文化において日本人の健康に寄与したと評価される食品や、伝統的製造方法を有する国産の食品のこと。同協会が定義し、新たにブランディングすることで、国内外での需要喚起を目指す。

18年上半期トレンド予測では、美や健康に効果的とされる成分を含んだインタートレード社の「ITはなびらたけ」が1位となった。上質なβグルカンやアミノ酸、その他有効成分を豊富に含み、がん細胞を増殖する欠点を持たないサイレントエストロゲンが今年発見された。RIZAP社が新たに展開する惣菜に採用されるなど、業界からの注目も高い。

(日本スーパーフード協会提供)

2位の「緑茶ボウル」は、だしの代替として緑茶をかける“洋風お茶漬け”。栄養バランスを意識して野菜をふんだんに使い、健康オイルで仕上げる新しい食べ方だ。見た目も美しい一皿食として、海外人気が高い。

緑茶ボウル(日本スーパーフード協会提供)

3位には「進化系ふりかけ」がランクイン。食事では摂取できない栄養価を手軽に取る手段として見直された。乾燥食材の粉末だけでなく、健康油などさまざまな素材を主食やおかずにふりかけて食べる機会が増えそうだ。

進化系ふりかけ(日本スーパーフード協会提供)

玄米を精米する際に出る米ぬかから抽出した「玄米ぬか油」は4位に選ばれた。オレイン酸とリノール酸をバランスよく含み、ビタミンEの約50倍の抗酸化力を持つトコトリエノールなどが豊富だ。

5位は、飲む点滴と呼ばれるほど栄養価の高い「玄米甘酒」。コウジ酸の美肌作用や酒かすに含まれるレジスタントプロテインの働きで腸内環境の改善が期待できる。米国では植物性健康ドリンクとして認知が高い。

6位の「かす床・かす漬け」は必須アミノ酸9種をすべて含み、100種類以上の酵素が含まれる日本の伝統食。7位の「むらさきいも」、8位の「進化系あずき」も日本の伝統的な自然食品だ。

9位にランキングされた「アカモク」は長年廃棄の対象だった海藻。カルシウムや鉄分、亜鉛の含有量は昆布やワカメを上回る。この栄養成分に着目した岩手アカモク生産協同組合がいち早く事業化し、地域の持続可能な新ビジネスとして注目されている。

10位の「江戸味噌」は、大豆とほぼ同量の米麹を使う甘口味噌。特に米麹を2倍使った「江戸甘味噌」は、第2次世界大戦中に“ぜいたく品”として製造が禁じられたが、その独特の香りと風味が近年再評価されはじめた。

同協会はこれらの食材をはじめ、日本独自のスーパーフードをブランド化し、国内外への普及拡大を目指す。食文化の深耕、再発見につながる取組みとして多くの関心を集めそうだ。

◇日本食糧新聞の2017年11月17日号の記事を転載しました。