沖縄の食文化は本土とは異なる点が多く、観光で訪れると戸惑うこともしばしば。そんななかでもかなり上級レベルの謎メニューといえるのが「おかず」です。いったいどんな料理が出てくるのだろう?と思いきや、実はみんながよく知るあの料理のことだったのです。

「おかず」のバリエーションは無限大!

ここ数年、沖縄にも全国チェーンの飲食店が次々と進出し、本土とあまり変わらないほど外食の選択肢が増えてきました。そんななか、路地裏でほそぼそと営業を続ける昔ながらの大衆食堂を見かけると、ついつい、あのメニューがないかどうか気になってしまうのです。

あのメニューとは、その名もズバリ「おかず」。
一般的におかずといえば、ごはんの付け合わせ全般を指すことば。それならトーフチャンプルーや魚フライも「おかず」じゃないの?と言いたくなりますが、沖縄で「おかず」といったら独立した立派なメニューのひとつなのです。

朝でも夜でもある「ランチ」や、単品料理と勘違いしてしまう「みそ汁」など、観光客を戸惑わせる沖縄独自のメニューがいくつかありますが、「おかず」ほど謎めいたメニューは無いかもしれません。

その正体はというと、主に ”野菜炒め” であることが多いのですが、店によって具も味付けもさまざま。実は、その食堂の個性を知るのにぴったりのメニューだと言えるのです。

店によって具材や味付け、スタイルはさまざま!おかずコレクションをご覧ください

「おかず」とはいったいどんなものなのか、百聞は一見に如かず。ということで、撮りためたおかずコレクションから一部をご紹介します。

トップバッターは宜野湾市にある『三角食堂』のおかず。

キャベツや玉ねぎ、もやしなどの野菜と豆腐を炒めたものの上に薄焼き玉子が覆いかぶさっているタイプ。

玉子をめくると、具沢山の野菜炒めが顔を出しました。野菜のだしがたっぷりと染み出した素朴な味わいにほっとします。ちくわからもいいだしが出ていいアクセントになっています。

続いては沖縄市にある『アワセそば』のおかず。

そば屋のおかずという位置づけのためか、大きな「三枚肉」が3切れ、野菜炒めに添えられているのが、他の店では見かけない大きな特徴。野菜炒めはキャベツと玉ねぎがメインのシンプルなもので、味がしっかり染み込んだほろっと柔らかい三枚肉と一緒に食べると相性抜群です。

お次は沖縄市にある『ハイウェイドライブイン』のおかず。

ステーキハウスらしくスープとライスは洋風ですが、なぜかメインのおかずがのっているお皿は中華料理店でよく見かけるもの。妙な組み合わせですが、このチャンプルー(ごちゃまぜ)具合が沖縄らしいといえば沖縄らしいです。

しっかりコショウが効いた野菜炒めの上に半熟目玉焼きがのっていて、黄身を絡めながら食べると、またひと味違うまろやかな味わいが楽しめます。

その他にはコンビーフが入っていたり、はたまた焼肉定食といってもいいぐらいお肉がメインだったり。店によって、さまざまなスタイルで楽しませてくれるのです。

絶滅の危機?見つけたらすかさず注文しよう

そんなおかずですが、近年「どういう内容かわかりにくい」などの理由で若者から注文されなくなり、メニューから消えてしまったり、名称が”野菜炒め”に変更になったりと絶滅の危機を迎えているらしいのです。

沖縄独自のユニークな食文化である「おかず」。ほそぼそとでもいいから、ずっと受け継がれていってほしいと願ってやみません。

昔ながらの大衆食堂や、沖縄そば店、ステーキハウスなどで見かけることができると思うので、みなさんも「おかずひとつ!」と注文してみてはいかがでしょうか。どんな具材でどんな味付けのものが到着するのか、ワクワクしながら待つのもまた「おかず」の醍醐味ですよ。