高齢者の寝たきり・感染症につながる低栄養を予防する食事術【レシピ付き】
こんにちは。福岡の管理栄養士の大山加奈恵です。寒波の影響で関東は12月並みの寒さだったり、この時期なのに台風がきたりと、天候が安定しませんが、体調を崩したりしていませんか?
毎日しっかり栄養バランスの良い食事をとることは、病気にならないための第一の基本です。特にたんぱく質は免疫力を高めたり、筋肉の材料になるので、しっかり食べて欲しい栄養素ですが、年齢とともに食べる量が減ってしまいがちなのです。
4人に1人以上が高齢者になった日本では、高齢者の食事に対する知識も必要です。自分の家族が高齢者になった時に困らないように、今から勉強を始めておきましょう。
飽食の時代に低栄養?!
今までおいしく食事を食べていたおじいちゃん、おばあちゃんが、「最近、ごはんに味がない。おいしくない」と言って、ご飯を食べてくれないなどの娘さんからの相談をよく聞きます。
また栄養相談でおばあさんに食事の内容を聞くと、ごはん+ふりかけ(大量)、食パン+ジャム+バターが朝食、昼食と続くことも多く、夜ごはんは夫婦2人でおかず1人分を分けるというのが現状です。
原因は年齢とともに味覚が低下し、噛んだり飲み込んだりする嚥下(えんげ)機能の衰えにより食事の量が少なくなってしまうからです。そして、同時に食べ物を消化・吸収する機能も落ちます。そして「低栄養」の状態に陥ってしまうのです。
低栄養とは、その人に適した、たんぱく質・エネルギーがとれていない状態で、プラス、ビタミン・ミネラルなどの栄養素不足も伴い、体重減少、筋肉減少、免疫力低下を招きます。そして風邪、肺炎などの感染症にもかかりやすくなるので、注意が必要です。
特におかずに使われる肉や魚介類、根菜類は種類によっては固いので、噛んだり飲み込むことができない人は食べることができずに、栄養バランスが崩れてしまいます。
低栄養にならないための栄養管理は、良質なたんぱく質
高齢者の栄養管理で特に重要なのは、次の2つです。
たんぱく質(とビタミンB6、B12、鉄分)
たんぱく質は筋肉や血液、酵素など「体を作る材料」となります。また、たんぱく質を含む食品に多く含まれるビタミンB6やB12、鉄分も高齢者は不足しがちですが、これらが足りないと貧血やうつ症状を引き起こします。貧血での転倒リスクや、うつ症状での活動低下があると筋肉を作る活動も損なわれる可能性があります。
カルシウム
カルシウムは皆さんも知っての通り、骨を作る材料です。日本人のカルシウム摂取量はもともと少ないのですが、高齢者になると消化や吸収力が弱まり、さらに不足しがちな状態になってしまいます。
カルシウムが足りないと、骨がスカスカになる骨粗鬆症になり、骨折して寝たきりになる人が増えています。転倒でなく、咳やくしゃみで骨が折れることもあり、骨折が良くなるまでの数ヶ月の間に、免疫低下で感染症になったり、痴呆が進行するなどの危険性があります。
たんぱく質、ビタミン、鉄分の上手な摂り方
たんぱく質は食事の量が減ることで一番不足しがちとなる栄養素です。たんぱく質が不足した状況が続くと筋肉量が減り、歩いたり運動したりする機能が衰えてしまいます。また細菌などへの抵抗力が下がり、インフルエンザなど感染症にかかりやすくなります。
たんぱく質を多く含む食品は牛肉、豚肉、鶏肉、魚、大豆食品、卵、牛乳など主菜に多く使われる食材です。1日に必要なたんぱく質量は体重と同じ数字のg数なので、体重が50kgの人は、50gのたんぱく質が必要になります。
きちんと摂取するための工夫
・1日3食食べること。
・毎回主菜には以下のいずれかを含むこと。
「卵一個」「お肉80g」「お魚1切れ」「豆腐1/4〜1/2丁」など
・可能なら副菜にも以下のいずれかを含むとさらに効果的。
「納豆」「油揚げ」「ゆで卵」「大豆の煮物」など
一緒にとりたいのが、ビタミンB6やB12、鉄分です。これらはたんぱく質の摂取量が減ると不足しやすくなります。これらの栄養素は「レバー」「卵」「魚」「赤身の肉」「あさり」「牡蠣」「豆腐」「納豆」などにも含まれます。主菜や副菜に上手に取り入れましょう。
カルシウムの上手な摂り方
次にカルシウムです。カルシウムが不足してしまうと、骨粗鬆症になり骨折しやすくなります。その結果寝たきりになり、そのまま介護が必要な状態になることがとても多いのです。毎日の食事からカルシウムを摂ることが、高齢者には特に重要になります。
カルシウムを多く含む食品は「牛乳」「チーズ」「小魚」「えび」「高野豆腐」などです。間食などで牛乳、チーズ、小魚などを食べカルシウムを摂取するのも工夫の一つです。
炭水化物、脂質、たんぱく質を含むおすすめ食材は、「ごま豆腐」
噛む力や飲み込む力が落ちている人におすすめの食材は、「ごま豆腐」です。ごま豆腐は、ごまを炒って、葛粉とだし汁で豆腐状に固めたもので、葛粉の炭水化物、ごまの脂質、たんぱく質と3大栄養素を含みます。
ごまのマグネシウム、ゴマリグナン、セサミンは骨粗鬆症予防、老化予防になります。また葛粉は昔から葛根(かっこん)として薬用食材として使われ、消化吸収を高めたり、血行をよくする効果があり、骨粗鬆症効果のあるイソフラボンも含みます。
ごま豆腐は柔らかく、味が淡白なので、おかず、副菜、デザートにも使えるので、どんどん献立に取り入れてみてください。
ごま豆腐を使ったレシピを2つご紹介します。
ごま豆腐のあんこのせ
(材料 2人分)
胡麻とうふ 60g
あんこ 20g
黄桃 1/2個
●ホットケーキミックス 25g
●牛乳 50cc
●卵 大さじ1
●抹茶粉 0.5g
(作り方)
- 胡麻とうふを四角に切る。黄桃を一口大に切る。
- ●のホットケーキミックス、抹茶粉、牛乳、卵をボールに入れて、攪拌する。テフロンのフライパンでクレープ生地を焼く。
- カップにクレープ生地を入れて、上に胡麻とうふ、あんこ、黄桃を飾る。
ごま豆腐の鶏そぼろあんかけ
(材料 2人分)
胡麻とうふ 120g
鶏ひき肉 30g
だし汁 120cc
◎おろししょうが 2g
◎酒 5g
◎薄口醤油 3cc
◎みりん 2cc
◎塩 少々
片栗粉 小2/3・・・同量の水で水溶き片栗粉にする
オクラ 10g・・・輪切りにして、ゆでる。
人参 10g・・・型抜きして、ゆでる。
(作り方)
- 胡麻とうふを四角に切る。オクラは輪切りにして、ゆでる。人参は型抜きしてゆでる。
- 鍋にだし汁を入れて火にかけ、鶏ひき肉を加えてほぐしながら混ぜる。◎で調味する。水溶き片栗粉でとろみをつける。
- 皿に胡麻とうふをおき、2をかけて、人参、オクラを飾る。
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