先日、赤坂にオープンした「ロウリーズ・ザ・プライムリブ」のプレオープンレセプションに参加しました。アメリカで大人気のプライムリブの専門店です。プライムリブは、塊のまま焼き上げてから目の前でカットして提供するローストビーフ。赤身もあり脂が程よく、ナイフとフォークでスルスルと切れる柔らかさが特徴。胃もたれすることなくたっぷり食べやすい。大きな塊からの切りたてでサーブされるので、肉汁が逃げないのもおいしさになっています。肉料理ブームが続く中、注目の「肉料理」の一つです。

「オトコ飯」に変貌できたローストビーフ丼

昨年、ローストビーフ丼が人気でした。高値になりやすいローストビーフ、ナイフフォークが必要なローストビーフ。そのイメージを、「丼」にすることによって安価で箸で食べる気軽なランチ飯になったのです。1000円以下で、たっぷりの柔かなビーフが堪能できて、ご飯も合わせるのでお腹もいっぱいになる。

また、ローストビーフ丼が人気になった別の理由として、「男性受けする肉料理になったから」があげられます。

ローストビーフは、そもそもご飯ではなくパンに合わせて食べる料理です。専用のグレービーソースは、ご飯が欲しくなる塩味ではないのです。そして、ゆったりとした気分で食べたいローストビーフは、どちらかというと女性のもの。もちろん肉質が柔かい肉料理として男性も無論嫌いではないですが、「同じ価格だったら焼肉のほうがいいね」と思われる傾向でした。

そこに、ソースの味を濃く糖度も強くして、ご飯に合う「タレ」に応用させ、生卵をトッピンングさせることで、一気にお箸でかき込める「オトコ飯」に変貌できたのです。ナイフとフォークを取り払い、仕事の合間の時間の無いランチ時でも、素早く食べられる料理は、ビジネスマンの必須条件でもあります。

さらに、肉料理の中では脂っぽさを感じさせないローストビーフは、そもそも肉食女子の心にもささる料理でもありました。

なぜ今、ローストビーフが受けるのか

ローストビーフ丼ブームは一段落。プライムリブの店舗では、「丼」はありません。コース料理が主体のメニュー構成と、都会的な大人の内装とサービス演出で、昭和時代からの王道のローストビーフの流れを汲んでいます。

肉料理と一口に言ってもカテゴリーごとに様々にトレンドが分かれて存在する現代です。同じカテゴリーの中で、カジュアル、王道、カジュアル、王道と交互にトレンドの傾向がやってくることは良くあります。簡便な「丼」で柔らかなビーフの美味しさに目覚めた消費者が次は、王道の基本料理も知りたくなり、ナイフとフォークで食べています。

また、プライムリブ、ローストビーフは、霜降りまではいかず、さりとて赤身肉よりはジューシー。今の消費者の「良し」とする脂身配分が気に入られるメニュー、という点も、人気の由縁といえそうです。

 

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