見えない砂糖に気をつけて!管理栄養士おすすめの映画『あまくない砂糖の話』
こんにちは。福岡の管理栄養士の大山加奈恵です。私は福岡の専門学校でパティシエを目指す生徒に、公衆衛生学を教えています。公衆衛生と聞けば、難しそうですが、一言で言うと《健康》を学んでいます。生徒たちが興味を持って授業を受けるように、映画を使って、生活習慣や環境が私たちの健康に与える影響を勉強しています。
今回は、その中でも甘いもの、特に砂糖を取りすぎると体がどう影響を受けるかが分かる映画をご紹介します。
60日間砂糖を食べ続けたら、どうなる?体を張ったオーストラリアのドキュメンタリー
オーストラリアで映画史上NO.1の動員の新記録を樹立したドキュメンタリー映画の監督は30代のデイモン・ガモーです。奥さんの妊娠をきっかけに、今から生まれてくる子供のためにも食事が体に与える影響を知るために、自分の身体を使った60日間の人体実験をします。
その名も、「THAT SUGAR FILM」 、日本題名は「あまくない砂糖の話」。
実験ルールは5つ
- 1日にティースプーン40杯分の砂糖(約160g:オーストラリア人の平均消費量)を消費すること。
- ソフトドリンク、アイスクリーム、チョコレートなどのお菓子類は避ける。
- 低脂肪のヨーグルトやシリアル等の「実は砂糖が多い食品」から摂る。
- 必ず「低脂肪」の食品を選ぶこと。
- ジョギングや筋トレなどの運動習慣を続けること(実験前と運動の消費量を変えないため)。
実験前の監督の食事は、野菜中心、卵、肉、魚などのたんぱく質、アボカドやナッツ類を食べていて、脂肪50%、たんぱく質26%、炭水化物24%の比率です。(※日本で推奨されている割合に比べると、脂肪の割合がかなり多いです。)
実験中には、シリアル、低脂肪ヨーグルト、低脂肪マフィン、フルーツジュースなど、低脂肪+高糖質の食品を食べるようにします。
ポイントは、カロリーは約2500kcal前後と実験前と変えずに、運動習慣も続けるので、摂取と消費のカロリーは変えないこと。つまり、砂糖を多く摂る食事による体への影響を見ることができる内容になっているのです。
実験結果にビックリ!体重が増えて、おなか周りが…
砂糖を食べ始めて、1週間で体には本当に驚くほどの影響が出てきます。実験をサポートするドクターや、栄養士もビックリ。
ドキュメンタリーには砂糖の消化吸収や細胞のメカニズムなど、とってもわかりやすく説明してありますが、簡単にまとめてみますね。
- 体重が急激に増えた、特に体脂肪、特におなか周りの内臓脂肪が増加
- 血液中の中性脂肪が増えて、メタボ症候群に
- 腎臓や肝臓の機能低下
- ハイテンションになって、その後に落ち込むを繰り返す
- 砂糖が切れると、また欲しくなる。やめられない、中毒症状に
- やる気が出ない、集中できない
太ったり、血液の数値が悪くなるだけでなく、精神的な面にも影響が出てくるのがよく分かります。お菓子やジュースを取りすぎる子供は、キレやすい、集中力が続かないなど、最近は日本でもよく問題になっています。
甘いものの取りすぎが原因の子供の肥満や虫歯は、親の責任です。欲しがるからと言って、すぐにジュースをあげていたら、将来子供さんがうつ病や生活習慣病になってしまう可能性がありますよ!
ヘルシー食品にも含まれる見えない砂糖
今回の実験で興味深いところは、チョコやケーキなど甘いお菓子を食べずに、砂糖40杯を摂取するということです。日本でも食べられる、グラノーラ、低脂肪ヨーグルト、スムージーなどが実験中に食べられていますが、あっという間にティースプーン10杯分の砂糖の量になります。
映画にもでてきますが、昔、世界の研究者の間では肥満の原因が、「脂肪」or 「砂糖」で長く論争が起きます。
勝者は「砂糖」!
脂肪は肥満の1番の原因となり、低脂肪、低カロリーの食品が多く作られるようになりました。低カロリーの食品は脂肪を減らした分、コクがなくなり物足りない。それをカバーするのに、砂糖を添加していくことになります。低カロリーの食品ラベルを見ると、果糖ブドウ糖液糖がはじめの方に書いてあります。
他にも、スムージーや野菜ジュースは果物が原料で、果糖(砂糖の成分)がたっぷり含まれています。体にいいからと何本も飲むのは、砂糖の取りすぎになるので注意しましょう。
和食はヘルシー、でも砂糖を使う料理も多い。実は1日にティースプーン約15杯の砂糖を食べている
実験はオーストラリアで行われているし、日本はそんなに砂糖を食べていないと思ってしまいますよね。でも和食は砂糖を多く使います。野菜の煮物、魚の煮付け、お寿司、すき焼き、照り焼き、酢の物などは、砂糖で味付けをしています。
みりん、はちみつ、ジュースや微糖コーヒーも合わせると、日本人の平均摂取量は、約60g弱(ティースプーン約15杯)になります。
最近は、菓子パン、ドーナツ、グラノーラをご飯に食べる人も増えているので、毎年少しづつ砂糖の摂取量は増えてきています。
映画の内容をすべて信じて、砂糖=悪と考える必要はありません。重要なことは、好きな物を好きなだけ食べる、美味しいものを何も考えずに食べることは、体を危険にさらすということを知ることです。
特に子供は料理を自分で選ぶことはできないので、大人が正しい食の知識を持ち、体に必要ないい食事を与えることが大人の責任です!
▽日本人へむけて監督のメッセージはこちら
あまくない砂糖の話 THAT SUGAR FILM – 監督の言葉
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