地震や豪雨、台風などの自然災害では、電気、ガス、水道などのライフラインがストップしてしまい、食事が用意できなくなってしまうこともあります。そんなアクシデントの強い味方が「非常食」。ライフラインの復旧に応じて、自宅には数パターンを備えておくのがオススメなのだそうです。でも、「非常食って、何をストックすればいいの?」と悩んでしまいますよね。でも、実は身近なアレもコレも、立派な「非常食」なんです!

“定番”は乾パン、ビスケット? 水があればご飯、お餅も食べられる

非常食といわれて、まず皆さんが思い浮かべるのは乾パンやビスケットかもしれません。自然災害でライフラインが断たれて料理ができない。交通網も寸断、遮断されて、自治体などの配給もすぐには受けられない-。こんなとき、“定番”の乾パンやビスケット、ゼリー飲料など、調理いらずですぐに食べられる非常食が支えになってくれます。

「水はある」なら、今は水を注ぐだけで食べられるご飯やお餅もあります。フリーズドライ製法のご飯では水を加えて約20分、炊飯(アルファ化)した状態で急速乾燥させたアルファ米では同じく約60分待てば完成する商品があります。

水で戻すタイプのお餅にいたっては、なんと水に数秒浸すだけで「安倍川餅」や「磯辺餅」が食べられるのだとか。お湯が使えるなら、カップラーメン、レトルト食品-と食べられるものの幅も広がります。

毎日の料理に使うあの缶詰、実は立派な非常食だった!?

非常食を挙げるなら、忘れてはならないのが缶詰の存在でしょう。非常食で缶詰となると、「サケ缶」や「サンマ缶」など水産系の缶詰、「コンビーフ」、「牛肉の大和煮」といった肉系缶詰などおかずになりそうな缶詰を思い浮かべる人も多いかもしれません。

でも、パスタなどで大活躍の「トマト水煮缶」や「ツナ缶」、煮物などに足すことの多い「大豆水煮缶」など、毎日の食事に欠かせない缶詰たちも立派な非常食なんです。

良質のたんぱく質、ビタミンBがたっぷりの「ツナ缶」は、おむすびやサンドイッチの具にしたり、カットワカメと交ぜてサラダにしたり-と、実は非常時の万能選手。「トマト水煮缶」は「アサリ缶」と合わせてアサリのトマトパスタを作ったり、ツナ缶やキャベツと煮込んでトマトスープにしたりすることもできます。非常時で野菜不足が心配なときも、強い味方になってくれそうです。

気付けば賞味期限切れ! そんな人はローリングストック法を

非常食を扱った書籍「フルコースで備える!非常食」(日本食糧新聞社)によると、非常食の条件は
① 常温で長期保存ができること
② 簡単に調理できること
③ 持ち運びしやすく軽量で個別包装されていること
④ 栄養価が高く腹持ちがいいこと
-なのだそうです。

救援物資がすぐには届かない可能性を考えて、各家庭では最低でも3日分を用意しておくと安心といいます。非常用持ち出し袋に入れるのは軽くて個包装されたもの、それ以外は屋外で特別な器具なしに食べられ、栄養価の高いものをストックしておきましょう。

「非常食って何を選べばいいか分からない」「気付いたら賞味期限が切れていた」-という声も出てきそうですね。そういう人にオススメなのが、缶詰やカップめん、レトルト食品など、普段食べている賞味期限の長い食品を少し多めに買っておき、食べた分だけ買い足していく「ローリングストック法」。この方法なら「非常食を用意しておかないと」と構える必要がないので、かなり「非常食ストック」のハードルが低くなると思いますよ。

何でも調理できる状況にあるなら、家庭菜園やご近所のおすそ分けの野菜も非常食にカウントできますし、「食べられる野草に詳しい!」という人なら、庭や道端に生えている草も立派な非常食です。

もし、「本当に何も食べるものがない!」場合、最終手段として、捕まえるのが簡単で栄養豊富、日本をはじめ世界各地で伝統食材として知られる「昆虫」を食べるという選択肢もあります。昆虫料理や昆虫食の愛好家によると、ダンゴムシやクモ、アリなども食べられるようですが……。チャレンジしたい方は、どうぞ自己責任で。