熊本県熊本市在住のたべぷろ編集部員・涼野リノです。大分で生まれ育ち宮崎で学生時代を謳歌し、東京の荒波にもまれ、帰ってきた九州・熊本の地で感じた各地での「食文化のちがい」を発信中。今回は熊本で出会った伝統野菜の水前寺菜(すいぜんじな)の意外な食べ方をご紹介します。

熊本の伝統野菜、「ひご野菜」は15品目!

「伝統野菜」と聞いて思い浮かべるのは有名な「京野菜」や「江戸野菜」でしょうか。単に土着の野菜というだけでなく、ふるさとの味として伝統料理には欠かせない存在、伝統野菜。もちろん同じ野菜でも異なる地方で根付けば呼び名も異なり、その地方の人々の好みによって食べ方も様々あります。

筆者が暮らす熊本にも伝統野菜があり、県の農林水産部によって「くまもとふるさと伝統野菜」として15品目が定められています(平成29年8月時点)。ここでは通称の「ひご野菜」と呼ぶことにいたしましょう。(ちなみに熊本市の観光政策課は「ひご野菜」と呼んでいます)

ひご野菜との出会いは、以前の記事(「熊本・阿蘇の高菜でお手軽「高菜めし」はいかが【7月7日は、高菜の日】」)に書いた「阿蘇高菜」が初めてでした。阿蘇のカルデラという特殊な土地で育つ固有品種の阿蘇高菜は、たとえ県内であっても他の地域へ持ち出して栽培したところで、まったく育たないというお話には本当に驚きました。

それ以来、スーパーや道の駅などで見たことのない食材を見つけては筆者のお姑さん(熊本生まれ熊本育ち)に質問攻めをしている次第です。

ひご野菜「水前寺菜(すいぜんじな)」どうやって食べるの?

水前寺菜は所変われば「金時草(きんじそう)」や「式部草(しきぶそう)」と呼ばれていて、熊本だけの固有種ではありません。茹でると海苔のようなぬめりがでるので、地域を問わず古くから親しまれている食べ方は、おひたし、酢の物、天ぷらなどです。

しかし筆者がオススメしたいのは、ペペロンチーノ!!!水前寺菜そのものを見ただけでは思いつかない食べ方ですが、熊本の食材にこだわるイタリアンレストランや洋食屋さんで見かける、とってもイマドキな伝統野菜のアレンジメニュー。

伝統野菜とはいえ、一時期は流通がとだえてしまい、家庭菜園の苗としてしか育てられていなかったという”絶滅危惧”の憂き目にもあった水前寺菜でしたが、近年こうしてふるさとの野菜を大切に残そうとする生産者やシェフの皆さんの底力によって温故知新な味で楽しめるようになりました。

簡単♪水前寺菜ときのこのペペロンチーノ

※筆者夫の感覚的な料理をレシピにしてみました。ご参考になれば幸いです。

【材料】
パスタ………………………2人分(茹でる時はいつもの塩加減で)
オリーブオイル……………大さじ3〜4
鷹の爪………………………ホール1本
にんにく……………………2片(※写真はジャンボにんにくのため1片)
粉チーズかコンソメ………適量
お好みのキノコ……………片手に乗るぐらい(※ぶなしめじなら半パック)
水前寺菜……………………半束。葉の部分のみ使用(多めがお好きでしたら全束)

【作り方】

  1. にんにくはスライスしておく。鷹の爪は種を取り除いて輪切り。
  2. 超低温でオリーブオイルを熱しながら鷹の爪とにんにくを入れて風味をしっかりつける。→と同時に沸騰したお湯にパスタを入れて茹で始める。
  3. 強火にしてキノコ、水前寺菜の順でフライパンに追加し火を通す。(※この時に、他にも具材を追加したい時は火の通りにくいものから入れてください)
  4. 火が通ったらパスタの茹で汁をお玉1杯とり、フライパンに入れる。乳化させるようにフライパンを揺すりながら、粉チーズorコンソメを入れてオイルにトロミをつける。
  5. パスタの茹で上げ目安時間マイナス1分くらいで鍋から引き上げ、フライパンへ投入!絡ませて完成。
左:生の水前寺菜。右:火を通している最中に色がどんどん緑色へと変化します

火を通す前後で、見た目にも食感にも違い

水前寺菜は生の状態だと、葉裏が鮮やかな紫色をしています。サラダで食べるとベビーリーフのような見た目が楽しめますが、「葉っぱ」独特のエグみ、苦味、香りが強いです。野菜の味を楽しみたい場合はぜひサラダにチャレンジを。茹でる時は熱湯でサッと短時間の調理をするのがオススメです。

油と相性バツグン!水前寺菜の食べ方アレンジ

水前寺菜は「油炒めとの相性がとても良い野菜」という印象を受けました。ペペロンチーノだけでなく、オリーブオイル + にんにく + 鷹の爪 と一緒に水前寺菜を炒めれば、まず失敗することはないでしょう。冷蔵庫にある食材をいろいろ使いたい時には便利ですね。

おまけでご紹介するもう一つの食べ方は、ごま油で炒める!
写真の材料はごま油 + きのこ + なす + 水前寺菜。味付けは塩こしょうと醤油です。シンプルですが、ご飯がすすみますよ。

もしスーパーで見かけることがありましたら、ぜひチャレンジしてみてください♪