熊本・阿蘇の高菜でお手軽「高菜めし」はいかが【7月7日は、高菜の日】
熊本県熊本市在住のたべぷろ編集部員・涼野リノです。大分で生まれ育ち宮崎で学生時代を謳歌し、東京の荒波にもまれ、帰ってきた九州・熊本の地で感じた各地での「食文化のちがい」を発信中。7月7日は七夕…だけでなく高菜の日。理由は「なっぱ」と「たかな」だから。ちょっと変化球な語呂合わせですね。今回は熊本の意外な「高菜めし」の作り方についてご紹介します。
カルデラという特殊な環境でのみ育つ阿蘇高菜
高菜と言えば熊本県-とすぐに思えたあなたは、九州マニア初級と認定いたします(筆者独断による)。高菜それ自体は全国各地で広く栽培され、お漬け物でも有名な「なっぱ」なわけですが、熊本には「阿蘇高菜」と呼ばれる固有品種があるのはご存じですか? 恥ずかしながら、筆者は熊本に移住してから知りました。
阿蘇は日本有数の活火山。阿蘇地域の畑は火山灰が堆積した酸性の火山性土壌です。それに加えて高冷地という厳しい環境のなかで生まれたのが、阿蘇高菜という固有品種。
阿蘇高菜を製造、販売しているお店に取材したところ、阿蘇高菜は阿蘇以外の土地へ持ち出して栽培しようとしても育たないんだとか。カルデラという特殊な土壌と気候だからこそ、育てられる味なのですね。
10月頃に種まきされる阿蘇高菜は、阿蘇の寒い冬をじっと耐えます。害虫のいない冬に自然の力を吸収し元気に芽吹いた阿蘇高菜は、気候が暖かくなる3月頃、一気に成長するそうです。
熊本の県民食・高菜めし
熊本には県民食、すなわちソウルフードと呼べるものがありすぎて困りますが、本当にどれもおいしいです。
今回ご紹介している「高菜めし」は、阿蘇周辺のみならず、熊本県内のお食事処に入ると必ずといっていいほど見かけるメニュー。「高菜めし」あるいは「高菜ごはん」などと書かれています。
ここで注目したいのが、高菜チャーハンではないという点。熊本ならではの食べ方を初めて知り、とても興味深かったのですが、作り方はとっても簡単スピーディー。味のついた「辛子高菜」や「油炒め高菜」を買ってきて、温かいご飯に混ぜるだけ!
ちなみに、筆者のお姑さんが「ちょっと前に炊いたご飯だから、コレは高菜めしにしちゃいましょう」と言っていたのでチャーハンにするのかと思いきや、あっという間に混ぜ込みご飯が出来上がった時には、驚きと感動でおいしさも3割増しでしたよ。
春は新漬けの青高菜、秋には本漬けの古漬を
阿蘇高菜の特徴は、茎の細さと柔らかさ。3月頃に一気に成長する高菜の収穫時期は大忙しだそうです。昔ながらの製法で一本一本丁寧に手折りして漬け込まれる高菜は、阿蘇のふるさとの味。
阿蘇高菜には2種類の楽しみ方があります。一つは新漬けといって、漬け込む期間は一週間ほど。鮮やかな緑色と、歯ごたえのあるシャキシャキとした繊維、鼻を抜ける青々しい春の味わいを楽しめます。
もう一つは本漬け、あるいは古漬と呼ばれるもので、漬け込んだまま秋まで熟成・発酵させているため、見た目も味も新漬けとはまったく別物です。本漬けの渋い茶色みを帯びた阿蘇高菜は酸味が強く、食感も漬物の重鎮よろしくコリコリしているのでご飯によく合います。
高菜は冷凍保存していつでも食べられます♪
最後に、お店の女将さんが教えてくださった小ワザをご紹介。新漬けの高菜は時期も出荷数も限られているため、キロ買いされるファンもいらっしゃるそうです。そしてキロ買いされる方は、もちろん一気に大量に食べるわけではないので冷凍保存するのだとか。
チャック付きの冷凍保存袋に、特に汁気も切らず、一回ずつの量に切り分けて入れるだけ! そうすれば一年中、新漬けが楽しめます。
また、混ぜるだけで作った高菜めしをおにぎりにして、ラップで包んで冷凍しておくのも便利ですよ、と女将さん談。
漬物って少しずつしか食べないので、実は保存方法に困るんだよなぁ…と思っていた筆者には朗報でしたので、ご紹介しました(ちなみに水気を切らずに冷凍保存が可能なのは高菜に限りますので、食感などが変化する他のお漬物はお勧めしません)。
みなさんも、楽チン♪簡単な高菜めしをお試しください♪
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