全国3900の事業所で1日約120万食のフードサービスを提供するエームサービスは、社員食堂で食育イベントを定期的に開催し、利用者に和食文化を学ぶ機会を提供している。14年から毎月19日の「食育の日」に合わせ、旬の素材を取り上げて新メニューを開発し、食材の情報を発信。産地との連携協定も結び、生産地への貢献も目指す。

食品メーカーとコラボした食育ワークショップなども実施し、利用者だけでなく、同社内も一丸となった参加型イベントへと成長している。

宮田佳泉IDSセンターMD企画室長は、同社の食育について、「まずは利用者個人が食体験を楽しむことと、正しい知識や情報を提供して健康な体作りに貢献すること。そして自身の食体験を家庭に持ち帰り、有効活用してもらうこと」の三つの価値訴求が特徴と語る。

毎月実施する食育の日イベントでは、日本各地の伝統的な食材を月ごとに設定し、オリジナルメニューを提供。食材の効能、産地情報、レシピなどを記載したリーフレットを配布し、「食から日本の未来を支える」ことを目的に行っている。

たとえば、昆布がテーマの7月では、うまみの知識やだしの取り方など、家庭に持ち帰っても役立つ情報が盛り込まれる。宮田室長は、「クライアントや社内からの理解も進み、社内コミュニケーションの促進にもつながっている」と手応えを感じている。

国内産地への貢献を目指し、連携協定を締結しているほか、昨年は食品メーカーとともに味噌や酢を使ったワークショップを実施。11月24日の「和食の日」にちなんだイベントも、今期は拡大を目指している。

近年、和食人気は世界的に高まり、日本国内で伝統的に食べられてきた素材の再認識の動きが生まれている。同社は、多様なアプローチで日々の食事に学びの要素を取り入れ、和食文化の担い手を育んでいる。

「きゅうり」をテーマにした事業所での展示

◇日本食糧新聞の2017年7月31日号の記事を転載しました。