兵庫県神戸市在住のたべぷろ編集部員・田添マチ子です。私のささやかな楽しみは家でお抹茶を点てて季節の和菓子を食べることです。おいしい和菓子を求めて京都まで行くことも。でも今は日本全国パンケーキが大人気ですね。和菓子だっておいしいのに~とちょっと悔しい気分。でもパンケーキも大好きです。数年前までは東京原宿のあのハワイの有名店まで通っていたほど。でもこのパンとお菓子の街・神戸であのパンケーキに負けない和菓子を見つけたのです。

神戸の老舗が作った“割れない煎餅”

“割れない煎餅”という気になるフレーズが耳に入り、早速入手してみようと神戸三宮の“ひょうごふるさと館”へ突撃。割れない=柔らかい→濡れおかきと勝手に思い込んでいた私は、その煎餅と初対面した時、驚いて手に取るのも忘れ、しばらくその煎餅を見下ろしていました。驚いたのはその大きさです。ご覧あれ。

“割れない煎餅”の正しい名前は「やわらか焼」です。もはや煎餅のサイズではありません。横の五百円玉と見比べてみればお分かりいただけるでしょう。

そして感触ですが、煎餅らしからぬ柔らかさ。少しフワフワしています。これは“煎餅”と言ってよいものでしょうか。これはただかぶりつくだけの食べ方でいいのだろうかと忖度せずにはいられなくなったのです。

まずは普通に食べてみると…甘くておいしい!カステラみたいな懐かしい味!舌の肥えた神戸市民に愛され続けてきただけある!でも、もっとおいしい食べ方を探してみたいな~と冷蔵庫に頭を突っ込んで、あれこれ足してみたのです。

お菓子をモーニングでいただく幸せ

この柔らかさ…パンケーキに見立てられないか?と考えました。モーニングとして食べられそうだと思ったのです。

まずレンジで20秒ほど温めます。なんだか甘くて良い香り! 蜂蜜の香りがフワ~っと漂ってきます。そして温める前よりもふんわり感がアップ。

アツアツのうちにバターを乗せて、蜂蜜をスプーン一杯かけてナイフとフォークで一口。まるでカステラのような甘さ!そして蜂蜜の風味がします。蜂蜜はかけなくてもいいかもしれません。

一枚食べきる頃にはもうお腹一杯です。今日も一日がんばれそう!飲み物は紅茶、牛乳、コーヒーと何でも合います。

煎餅がトッピング次第で洋風のスイーツに早変わり

次にお菓子としての食べ方です。ここは和菓子路線で攻めてみたいところです。和菓子好きにはたまらないスイーツにならないものか…まず和菓子といえば欠かせないのはあんこ。市販の袋入りのあんこをスプーン一杯用意。「やわらか焼」を食べたいサイズだけ2枚切り分けます。

電子レンジで30秒ほど温めます。そこにあんこを好みの量で。これは冷たくても温かくてもOK。もう一枚同じサイズの「やわらか焼」を乗せてあんこをサンドしてもおいしい!合わせるお茶は日本茶系がいいですね。緑茶、ほうじ茶または麦茶も合います。

バニラアイスとも相性抜群です。今度はトースターでしっかり焼きます。すると表面はカリッとなり中はふんわりした食感に。ただ温めるだけよりもフンワリ感が倍増!そこに少し溶けたバニラアイスを絡ませれば立派なパンケーキ系スイーツの出来上がりです。

面白いことに冷たいバニラアイスが浸み込んだところは硬くなり、ここで初めて煎餅を食べているようなポリポリという音が出ました。生クリームやイチゴなどのカラフルなフルーツを足してみれば彩りも華やかで目にも楽しいです。合わせるお茶はコーヒー、紅茶がおススメです。

この「やわらか焼」は明治6年創業の亀井堂総本店が作っています。明治23年、東京で開催された第3回内国勧業博覧会において、瓦せんべいが大好評を博したため、創業者・松井佐助氏が「遠距離を運んでも割れないお煎餅」として「やわらか焼」を考案したそうです。特徴はその模様ですが、これは創業者の出身地の英雄である、楠木正成公の家紋の「菊水紋」です。歴史を感じられるお菓子ですね。

洋風にも和風にも早変わりできる「やわらか焼」は2枚入りで350円。この安さですし、日持ちするので非常食にもよさそうです。「やわらか焼」は神戸市元町の本店やネットでも購入できます。お菓子としてもご飯としても食べられる“使える食べ物”です。舌の肥えた神戸市民に愛され続ける「やわらか焼」を味わってみませんか?