バレンタインは誰のため?イマドキは「俺チョコ」
もともと家族間で花束を贈るなどのねぎらうイベントだったバレンタインデーを、日本では「女性から男性にチョコをあげて愛を告白する日」として大ブレイクさせました。日本のバレンタインデーは進化をし続けて、今では世界一おいしいチョコが集まるイベントになったといえるでしょう。イベントの背景をみると日本の世相も見えてくるのです。
家族イベントから男女の告白の場へ
一年に一度、愛の告白…。男性も女性もドキドキのイベントが大ブレイクしたのはなぜでしょう。おそらく近代であればこれほどブレイクはなかったはず。「女性から男性に告白するなんて、はしたない」「女性は恋愛に受け身であるのが理想」といった前提があったからなんですよね。
ですが、あっという間に世の中は変わって、「一年も待ってなんていられないわ!」と女性が積極的になってくると、バレンタインは次の一手に出ます。
それが「義理チョコ」「本命チョコ」です。これまた大ブレイクです! 義理と本命を明確に分けるために、チョコ業界は一気にバリエーションが増え、賑わいを見せていきます。サッカーチョコ、豚の鼻のチョコ、おっぱいチョコなんて明らかに「ウケ」を狙ったチョコや、ゴディバのような輸入チョコが人気になっていきます。
義理チョコから友チョコへ
そもそも人に贈るものに「義理」なんて言葉はえげつないですよね。日本人がダイレクトな言葉に躊躇しなくなったのも、この頃からかもしれません。
外で働く女性が増えると、今までは「夫のお世話になった方」に贈ればよかったお中元やお歳暮も、「自分の上司」にもあげなくてはいけなくなってしまいます。そこで、送料もかからず気軽に手渡しできる「チョコ」で日頃のお礼ができればうってつけ!で飛びついたのだと思います。食生活への簡便、利便志向もこの頃から加速度を増したように思います。
その次にやってきたのは、友チョコ、そしてご褒美チョコです。もはや、「男性排除」です(笑)。女性ってすごいですね~。「やっぱり頼れるのは女友達だよね~」「やっぱり自分が大事でしょう」。疲れやストレスがたまる中、同じ悩みを持つ女性の友達や、癒される自分への演出としてチョコは人気になりました。
男性が自分に買う「俺チョコ」へ
数年前から、チョコイベントに男性の姿が増えています。「奥さんに頼まれた」タイプの人と、そうでない人が明らかにわかる(笑)。そうなんです! 男性も自分に買う「俺チョコ」の人が増えたのです。
欲しくもない義理チョコをもらってお返しする面倒を考えたら、自分の食べたいチョコを食べるんだ! と男性も。男女の区別がなくなって、男性も甘いもの好きを公言できる世の中になったことも背景にあります。
俺チョコとともに、産地にこだわったチョコも流行ったと感じます。産地別の趣向は女性には乏しい“感性”なのです。
バレンタインデーにはまだまだいろいろ背景もトレンドもあるのですが、食のイベントを見ると、世の中の流れも見えるのです。
でも、少なくとも「他人に喜んでもらうためにその人を想って選び贈る」のではなく、女性も男性も「自分のために買って自分で食べる」のが主流のイベントであるなら、とても賑わっているイベントなのですが、バレンタインデーは、実は切ないイベントになっていないかしら? と思ったりします。個人個人が「自分大事」の社会は人間関係にマイナス面も多いのです。
ところで今年は?メルヘンに
それでも私もチョコは大好き! 今年のトレンドは「ルビーチョコ」でしょう。いちごのような色で、ほのかにベリーの香りが感じられる魅力的なチョコ。チョコレートには浪漫がありますよね。愛する人(男女関係なく)をねぎらいつつ、イベントに頼らずとも、一年中だって、健康を保つ程度に(笑)、チョコと良い関係でいただきたいですよね。
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