アメリカでは忙しい平日の朝は、せわしなくそそくさとシリアルで済ませても、週末は、ゆっくり起きて、店に出かけ、ゆっくりコーヒーを飲んで、準備も後片付けもいらないブランチを楽しみたいという人は多い。ウイークエンド・ブランチを提供する店は、どこも満員だ。

週末ブランチで「プチぜいたく」を楽しむ

この「プチぜいたく」というジャンルは、なかなか魅力的な市場になっている。需要を見込んで、バーやパブも週末ブランチを提供するようになった。店側にとっても、朝食は、比較的手間がかからず、バリエーションの幅も狭いので、オペレーションやインベントリーなどいろいろな意味で余裕ができる。

さて、今回の「ビスケット・ラブ」は、南部の朝食として知られるビスケットの専門店で、カントリーミュージックのメッカであるテネシー州ナッシュビルにある。

南部は、シンプルで家庭的な料理で知られるが、中でも、焼きたてのビスケットは、ほかほかとしてホームメードの温かみがあり、人気だ。

「ポークチョップ&エッグズ」(14$)卵2個を使った料理(目玉焼き、スクランブルドエッグ、ポーチトエッグなど客の好みに応じる)、チーズ・グリッツ、ポークチョップ2.枚、バターミルク・ビスケット、ジャム

ハムやソーセージ、卵料理に添えて、パン代わりに食べたり、フライドチキンやソーセージを挟んだりして食べるが、同店でも、通常の方法の他、フレンチトーストにしたり、揚げてクリームをのせたり、とユニークな方法で提供している。

「ハミングバード・ファミリー・リザーブ」(7$)パイナップルとバナナのジャムを包んだバターミルク・ビスケットにクリームチーズのフロスティングをかけ、ペカンナッツを振りかけたもの

特に、店の看板メニュー「ボーナッツ」は、バターミルク・ビスケットを揚げ、レモン・マスカルポーネを絞り、ブルーベリーコンポートを添えたもので、人気がある。週末は売り切れになることから、店側は、なるべく早い時間の来店を呼び掛けている。

「リリー」(10$)ビスケットのフレンチトースト、レモン・マスカルポーネとブルーベリーコンポートをのせ、シロップをかけたもの

ビスケットは一から手作り

同店の形態は、ファストカジュアル。ウエイターサービスのあるところでは、客は長居しがちだが、セルフサービスなので回転が早くなり、客数を増やせるし、またスタッフの削減にもつながる。

「フレンチ・オムレツ」(11$)ブルサン・チーズを入れて焼いたフレンチ・オムレツ、マッシュルームと玉ネギのソテーをのせたもの。シャンパン・ヴェネグレクトであえたアルギュラのサイドサラダを添える

超人気の店なので、週末は特に混み、平均50分から1時間余りの待ち時間。客は、先にテーブルを確保するのではなく、列に並んで、自分の番が来るまで待つ。列に並んでいる間の待ち時間は長くても、いったん席が空いて自分の番が来れば、注文した料理はすぐにサーブされる。

「ビル・ニール」(14$)エビ、マッシュルーム、スモーク・ベーコンの入ったチーズ・グリッツに、レモンタバスコ・ソースをかけ、ネギを散らしたもの

元は、フードトラックで始めたが、今では、このカントリーミュージックの町に3軒の固定店を展開。1日に何千個というビスケットを一から手作りしている。提供するのは、朝食、ブランチ、ランチのみ。そのため、開店時間は、毎日午前7時から午後3時だ。休みは、感謝祭と、クリスマス、スタッフ感謝の日の3日のみ。

「プリンセス」(10$)バターミルク・ビスケットに、ナッシュビル風スパイシーな鶏もも肉フライ、ピクルスを挟んだもの。マスタードもしくは蜂蜜を付けて食べる。フライドチキンとビスケットのコンビは定番だ

●店舗情報
ビスケット・ラブ(Biscuit Love)
所在地=316 11th Avenue South Nashville Tennessee

店内の様子

◇外食レストラン新聞の2019年1月7日号の記事を転載しました。