バングラデシュの働くママは手作りスナック菓子で子どもの教育費を捻出
こんにちは。飢餓をなくす活動をする国際協力NGOハンガー・フリー・ワールドです。開発途上国で飢餓に直面する人々が、自分たちの力で栄養ある食べ物を得られるように支援しています。そんな活動国の一つ、バングラデシュでがんばっているママをご紹介します。子どもたちのために、夫を巻き込んでスナック菓子を作って販売する事業を始めました。
見た目はベビースターラーメン!? スナック菓子「チャナチュル」
バングラデシュでは、スナック菓子「チャナチュル」が大人気です。豆粉を練って細く成型してカラっと油で揚げ、豆やナッツを加えて唐辛子などのスパイスと塩で味つけしたものです。見た目は日本のベビースターラーメン風で、ポリポリといくらでも手が伸び、やみつきになる味です。
そのままおやつに食べるのはもちろん、サラダやスープに入れると、ピリッとアクセントになって食が進みます。
工場で作られた既製品も売られていますが、各家庭で作られたものを屋台などで販売することもあり、スパイスや混ぜ物が異なっていて、それぞれの味が楽しめます。
【作り方】
1. 豆粉に水を加えてよく練る。
2. 小さく穴の開いた金属板の上に生地を載せて、熱した油の上で生地を押し当てる。
3.穴から生地が細かくなって出てくるので、そのまま熱した油の中に入れる。
4.カラッときつね色になるまで揚げる。
5.油を切って、同様に油で揚げたピーナッツを混ぜ、スパイスを振りかけ、よく混ぜる。
お嬢さんの名前をブランド名にして売り出し大評判に
このチャナチュルを作って売るビジネスを始めたのは、ハリマ・ベグムさん。主婦です。彼女が暮らすオヌバンプール村は農村地帯で、ほとんどの住民が農業に携わっていますが、収入も低く、十分に食費にあてることができません。
14歳で結婚してこの村に来たハリマさんは、他人の畑で日雇い労働もして家計を支えていました。ハンガー・フリー・ワールドの支援がきっかけで、ハリマさんは、3500円(約4300円)を元手に、週に3日、夫と一緒にチャナチュルを1日50~70袋作って売ることにしました。
「Shirin Bangla Chanachur(シャリーンのバングラチャナチュル)」というブランド名もつけました。シャリーンというのは、13歳になるお嬢さんの名前です。村のマーケットや家の近所で販売すると、たちまち「おいしい」と大評判に。1袋あたり、1タカ(約1.25円)ほどが利益になったそうです。
地域の女性たちに勇気を与える存在に
ハリマさんは、この事業を始めてから、きつい日雇い労働の仕事もしなくてすみ、身体も家計も随分楽になったとか。得た収入で、お嬢さんの参考書を買うなど教育費も捻出できるようになりました。
バングラデシュでは夫が妻の仕事を手伝うのはまだ珍しいことですが、「お互いに助け合って仕事ができて、幸せです」とハリマさんの夫は、はにかみながら答えてくれました。
チャナチュルは豆から作るので、肉や野菜が十分に食べられない地域では貴重なたんぱく質が摂取できます。バングラデシュでは、豆を「貧乏人の食べ物」と敬遠されることがあったのですが、スナック菓子なら喜んで食べてもらえ、一石二鳥です。
ハリマさんの活躍は他の村の女性たちに勇気を与えています。
世界の飢餓人口は8億2100万人(2018年現在)。9人に1人が飢餓に苦しんでいます。ハンガー・フリー・ワールドは、飢餓に苦しむ人々の自立を支援し、人がみな生まれながらに持つ「食料への権利」の実現をめざしています。栄養改善事業や識字教育などを実施し、政府や国際機関への政策提言も行っています。活動は現地の住民と一緒に行い、将来的に住民が自分たちで事業を運営し、地域の課題を解決できるようになることをめざします。
詳しくはこちら
コメント
記事コメント投稿サービス利用規約に同意の上ご利用ください。