うどん店が多い大阪でも、その個性的なスタイルで話題になっているのが、堺筋本町にある「うどんDINING KONA×MIZU×SHIO」だ。うどんだけではなく、うどんで作るパンも用意し、多くのファンを獲得している。斬新な発想で新たなうどんシーンを切り開く、同店の取り組みを取材した。

讃岐うどんとは一線を画す“モチモチ感”

カフェのような店構えから、まず“見た目”で驚かされる同店。店主の白川和(なごむ)さんは、料理人から飲食店のプロデュース業に携わり、「また現場に立ちたい」と3年前に店をオープンした。

「うどん店!?」と驚く、明るくナチュラルな雰囲気の外観

開業したのは、人の流れから外れたビジネス街。あえて、集客が難しい場所での特徴ある店づくりで、“探してでも行きたい店”を目指したという。現在では、平日は近隣の会社員、土曜日は遠方からの客でにぎわう人気店に成長している。

今の大阪では讃岐うどんが主流だが、「讃岐うどんはおいしいですが、全ての店が同じでは面白みがありません」と白川さん。目指したのは、讃岐うどんとは一線を画す“モチモチ感”が前面に出たうどんだ。

期間限定の創作うどんも

麺は、加水率を高めに調整した自家製。ゆで釜と圧力釜を併用してゆでるスタイルで、“もちのような”食感を実現している。また、野菜パウダーなどを練り込む、幅広の「色麺」も製造。全メニューに1本忍ばせて出すのも、ニクい演出だ。

定番商品の他、「自分が食べたいもの」をカタチにした、期間限定の創作うどんも考案。こちらは、2~3日で替わるのが前提という、驚きのサイクルで提供されるもの。今までに約160種類が登場しており、来店のたびに新しい味とアイデアに出合える楽しみがある。

和洋の味わいが楽しめる、だしの利いたつけダレ(写真奥)とキノコのクリームソース(同手前)。ソースに温玉と粉チーズを加えればカルボナーラ風になり、添えているチーズスティックをつけてもOK。うどんに1本プラスする「色麺」は、5種類を用意(写真はムラサキイモ)

例えば、写真の期間限定メニューは、秋をテーマに、季節の素材や多彩な調理法を取り入れた商品。2種のつけダレと、かけだしが隠し味のチーズフォンデュをセットにした、さまざまなマッチングを堪能できる一品だ。

うどんで作る「うパン」も人気

また、うどんとのセットやテイクアウト用に開発して人気を集めているのが、数量限定で提供する「うパン」。ゆでたうどんをペースト状にして練り込む自家製造の商品で、もっちり&しっとりした味わいが特徴だ。

写真手前左から時計回りに、「安納芋あん」(170円)、「黒糖バナナクリーム」(同)、「塩バターうパン」(110円)、「マーマレード&ミルクバター」(170円)、「うパンドーナッツ」(90円)※各税込み

もともとは、時間の経過などで無駄にする麺の活用法として発案したものだが、今では売り切れることが多いヒット商品になっている。

「うどんは日々進化するもの。まだまだ勉強中」と白川さん。今後の新メニューにも注目である。

店内では、多彩にアレンジしたテイクアウト用「うパン」を販売

●店舗情報
うどんDINING「KONA×MIZU×SHIO」
所在地=大阪市中央区南本町1-2-6 ブルームビル1階
開業=2015年11月
坪数・席数=22坪・19席
営業時間=11時30分~14時(麺が売り切れ次第終了)・日曜定休
平均客単価=1000円

◇外食レストラン新聞2018年10月1日号の記事を転載しました。