ボトルの裏ラベルを見てみましょう…プロが教えるウイスキーの選び方
先月、女性に優しいウイスキーのポイントについてご紹介しました。「少しウイスキーに興味が出てきた」という方が、次に思うことは「たくさんの種類がありすぎてどうやって選んでいいかわからない・・・」ということではないでしょうか。
それを解決するためには、私は“最低限の基礎知識を知ってからウイスキーを楽しむこと”が近道だと考えています。
知識といっても、ここでは【自分の好きなウイスキーを選べるようになる】ために知っていただきたいことに絞ってお伝えしていきます。
その1回目として、【原材料】についてのお話です。食べ物でも飲み物でも、「原料は何?」「どこで作られたの?」と気にして裏ラベルを見る事があると思います。ウイスキーを選ぶ時にも、ぜひそうして欲しいのです!
その1:ウイスキーって何から出来ているの?
前回のウイスキー記事はこちら
女性にやさしいお酒「ウイスキー」3つの魅力
ウイスキーを知らない、という人はいないと思いますが、「ウイスキーの原料は何?」と質問されてすぐに答えられる人は少ないのではないでしょうか。
そこで、ウイスキーの裏ラベルを見てみましょう!【原材料】のところには・・・「モルト」「モルト、グレーン」と書いてあります。「モルト」「グレーン」って何なのでしょう?
「モルト」「グレーン」ともに穀物です。つまりウイスキーの原料は?という質問の答えは、ずばり!『穀物』です。
「モルト」は「大麦麦芽」(=大麦を発芽させたもの)を指します。「グレーン」はその他の穀物をまとめた総称です。「グレーン」という表記がある場合、使われている穀物は主に「とうもろこし」です。他には「小麦」「ライ麦」なども使われることがあります。
一般的にウイスキーの原材料として表記されているのはこの2つですが、日本ではウイスキーとして販売されているものの中に、「モルト」「グレーン」以外の原材料が入っている場合があります。その理由については、次回「5大ウイスキー」の回でご説明します。
その2:原料によるウイスキーの分類は3つ
ウイスキーを原料によって分類すると3つ分けることができます。世界中のウイスキーは、基本的にこの3つのいずれかに分類することができますので、ぜひ覚えておきましょう。
- 「モルト=大麦麦芽」を原料にした「モルトウイスキー」
- 「グレーン=穀物」を原料とした「グレーンウイスキー」
- 「モルトウイスキー」と「グレーンウイスキー」をブレンドして造る「ブレンデッドウイスキー」
3種類でどれが人気があるのか?
流通量で比較すると、「ブレンデッドウイスキー」が約90%以上、「モルトウイスキー」は数%、「グレーンウイスキー」はほとんど流通していません。圧倒的に「ブレンデッドウイスキー」が多いのです。その理由はのちほど。
見分け方
この3種類を見分けるための情報はラベルにあります。ボトルの表と裏に貼ってあるラベルをよく見てみましょう。
●裏ラベルの【原材料】の表記
モルト、グレーンと書いてある ⇒「ブレンデッドウイスキー」
モルトと書いてある ⇒「モルトウイスキー」
※「グレーンウイスキー」の原材料は「グレーン、モルト」と表記されています。なぜ「グレーン」だけではないかというと、糖化させるための副原料としてモルト(大麦麦芽)を使用するからです。
●表ラベル
「モルトウイスキー」「グレーンウイスキー」の場合、表ラベルのどこかに「Malt Whisky」「Grain Whisky」と記載されている場合がほとんどです。「Whisky」だけの場合は「ブレンデッドウイスキー」と解釈してよいでしょう。
代表的な銘柄:聞いたことある、飲んだことがあるウイスキーはありますか?
「ブレンデッドウイスキー」⇒ジョニーウォーカー、ホワイトホース、バランタイン、シーバスリーガル、オールドパー、サントリー響
「モルトウイスキー」⇒グレンフィディック、グレンリベット、マッカラン、山崎、白州、余市
「グレーンウイスキー」⇒知多、ニッカカフェグレーン
その3:原料によって何が違うの?
「モルトウイスキー」「グレーンウイスキー」「ブレンデッドウイスキー」の違いは何でしょうか?今回はわかりやすく簡単にご説明します。個々の商品によっては、あてはまらない場合もありますので、大枠の傾向として理解しください。ここでは【自分の好きなウイスキーを選ぶ】時のポイントとして「味わい」と「価格」の違いについてお話します。
「味わい」の違い
「モルトウイスキー」は、味わいが豊かで、生産国(場所)、造り方によって様々な特徴が出やすいウイスキーです。
それに対して「グレーンウイスキー」はすっきりとした味わいで、あまり特徴が出にくいです。そのため「グレーンウイスキー」のみで販売されるというよりは、主にブレンデッドウイスキーの材料に使われています。
「ブレンデッドウイスキー」はこの2種類を混ぜ合わせて作ります。
モルトウイスキーの個性を軸に、グレーンウイスキーをブレンドして、ブランドとして“こんなウイスキーにしたい”とイメージする味わいを作ります。イメージするウイスキーを作るために、ブレンダーが熟成中の樽から適切なモルト&グレーン原酒を選び、ブレンドの割合を決めて作り上げていくのです。
※飲み方は、いろいろありますが、豊かな味わいの「モルトウイスキー」はそのままストレートで、「ブレンデッドウイスキー」は気軽にハイボールで楽しむのがおすすめです。おつまみには、ウイスキー樽のチップで燻した燻製料理を合わせてみましょう。
「価格」の違い
「モルトウイスキー」と「ブレンデッドウイスキー」の価格を比べると、「モルトウイスキー」の方が平均的に高価です。例えば、スコッチウイスキーでブレンデッドウイスキーは900円台~、モルトウイスキーは3,000円台~です。
その理由は、ブレンデッドウイスキーはモルトウイスキーより低コストでできる「グレーンウイスキー」をブレンドしているからです。手軽な価格のグレーンウイスキーをベースに、個性豊かなモルトウイスキーをブレンドすることで、私たちが手に取りやすい価格を実現してくれているのです。
味わいのバリエーションが豊富で、手軽な価格で楽しめるからこそブレンデッドウイスキーは世界中で人気が高いのですね。
次回は「原産国」による分類として「世界5大ウイスキー」についてご説明します。お楽しみに。
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