「寿司屋のラーメン」がアツい!スープは魚介のうま味たっぷり
中国生まれの料理でありながら日本で独自の進化を遂げ、もはや“日本食化”したラーメン。昨今ではいよいよ日本食化が加速し、寿司屋でもその姿を見かけるようになってきた。「寿司屋でラーメン?」と、眉をひそめる人もいそうだが、寿司屋の強みを生かし、魚貝を活用してスープを作り込んだり、寿司に合う汁物としてオリジナルの味を出すなど、その完成度は実は驚くほど高い。もはや「寿司屋のラーメン」というカテゴリーが生まれても不思議ではないレベルだ。
寿司屋の側からしても、ラーメンを提供するメリットは大きい。特に個人寿司店の場合、宅配やテークアウト寿司チェーン、回転寿司などに押され気味の今、ラーメンがこれまでの客層にないタイプの一見客を取り込む、起爆剤になる可能性を秘めているのだ。寿司店のサイドメニューにまで食い込んできている“寿司屋のラーメン”。その最新事情に迫ってみた。
【白金オカミハウス from寿司おさむ】カウンター寿司店デビューを誘う、名物ラーメン
「白金オカミハウス」は創業40年を誇る、カウンター席だけの寿司店。この寿司の名店がランチでラーメンを提供し、日・祝日には「塩麺専門店」まで営んでいるというから興味深い。同店でラーメンの提供を始めたのは2015年から。「まかないの魚のアラがあまりにもおいしく、まかないだけではもったいない、と思って」と、齋藤温子女将(おかみ)は言う。
同店のラーメンは、魚のアラでだしをとった塩スープが特徴的な「塩麺」だ。スープがなくなるまでの一日15食限定で提供。スープは開店前、5~6種類の魚のアラ(日替わり)と野菜を煮込んで丁寧にだしをとっている。
「魚のアラでだしをとるときは焼いてから、というのが日本料理の王道の調理法ですが、ウチはそのまま漉し袋に入れて煮ます。新鮮なアラなら、焼かなくてもおいしさは変わらない。必要のない手間は省かないとね」と、女将は笑う。
このだし汁に、コメ油にユズ粉で香りをつけた自家製ユズ油、昆布と貝柱で作った塩ダレ、タイのうしお汁を加えて作るスープは、「魚介をふんだんに使えるのが寿司店の強み」と女将が胸を張る、海のうま味たっぷりの味わい。煮アナゴ、白髪ネギ、三つ葉、ミョウガの具材も上品で、魚介の滋味が染みたスープは9割以上のお客が飲み干す。
同店ではラーメンの提供を始めたことで、夜の客層にも変化が現れるようになった。これまであまり見られなかった20~30代の一見客が、ラーメンを食べに来たのを機に、夜の時間帯にも寿司を食べに訪れるようになったという。若者の“粋なカウンター寿司店デビュー”を、ラーメンが後押しした形だ。
「手前どものような小規模の個人寿司店は今、とても厳しい状況。ラーメンを始めたのは、店を活気づけたかった、という理由も実は大きいんです。ラーメンが、ちょっぴり敷居の高い寿司店に思い切って足を運ぶきっかけになってくれるなら、それはうれしいですね。うちも寿司店ですから、やっぱり寿司を食べてほしい」と、女将は語る。
「白金オカミハウス from寿司おさむ」
所在地=東京都港区白金1-25-23江塚ビル1階/席数=カウンター10席/営業時間=11時~21時、日・祝は「塩麺専門店」11時~15時/平均客単価=夜8,000~10,000円/1日平均集客数=約30人
【かっぱ寿司】あくまでも“寿司ありき” サイドメニューで魅力を
「かっぱ寿司」では5月に本格ハンバーグメニューの販売を開始するなど、サイドメニューには力を入れている。「家族やグループで来店したお客さまのなかで“寿司ではない違うメニューが食べたい”という要望は意外と多い。そうした声にも応えたい」(同社商品開発担当)として、サイドメニューの充実を図っているのだ。
なかでもラーメンは、2014年秋に和風塩ラーメンを初採用して以降、人気の高い重要メニューと位置付けている。「以前、行った『かっぱ寿司で食べたいサイドメニュー』の調査でも、茶碗蒸し、うどん、味噌汁に次ぐ4位にラーメンがランクインしています」(同)という。
同社のラーメンは、「寿司と一緒にスープまで飲み干せるラーメン」をコンセプトに、魚介のうま味を生かした味、パンチの利いたカツオだしスープ、カルビ肉をのせたボリューム系、油そばなど、これまでさまざまに展開してきた。5月からは「白いスープカレーラーメン」を販売開始。「麺もリニューアルし、他社には出せない個性的な味を追求した」(同)と自信を示す、斬新なラーメンだ。
「われわれは回転寿司店ですから、もちろん“寿司ありき”。その上で、お客さまのニーズにしっかり応えたサイドメニューで、魅力を打ち出したい」と、同社の商品開発担当は話す。
【はま寿司】寿司を邪魔しない本格ラーメン
同店のHPには「はま寿司歴代ラーメンヒストリー」のページが設けられ、ラーメンに対する本気度は高い。「食を提供するプロとして、お寿司はもちろんサイドメニューにも力を入れるべき」(同社広報)という考え方だ。
同店が初めて採用したラーメンは、2013年2月の「磯ラーメン」。その後、「小えびとびんちょうの塩ラーメン」や「牡蠣ラーメン」「特製漬けまぐろの塩ラーメン」など、海鮮に特化したスープを中心に展開してきたが、2015年に発売した「濃厚魚介とんこつラーメン」が好評を博す。これを受け、“寿司を邪魔しない味”でありながらも、魚介の味だけにこだわらない本格ラーメンを打ち出すようになった。
同店のラーメンは期間限定で多彩にメニューを変えている。「毎回行くたびにラーメンが変わっていてうれしい」との声が多く寄せられているとか。“寿司に追加する麺類”を超え、「親しみやすくて楽しめるサイドメニュー」という点にも重きを置いているのだ。
【スシロー】寿司屋だからこそ出せる味にこだわる
同店は2014年4月から、ラーメンの販売を開始。「回転寿司業界でサイドメニュー競争が激化していくなか、満を持して開発した」(同社広報)のが、「出汁入り鶏がら醤油ラーメン」。鶏がらと魚介でだしをとった“寿司に合うラーメン”で、発売から1カ月足らずで累計100万食を超える人気メニューとなった。
同店のラーメンは「素材を生かした寿司屋らしいラーメン」にとことんこだわっているのが大きな特徴だ。寿司で使用したタイのアラ、エビの頭やがらをスープのだしに活用したり、具材に新鮮なマグロを揚げたマグロカツをのせるなど、魚介類を使った「寿司屋だからこその味」を追求。いわば「寿司屋が作る王道のラーメン」を目指しているのが、スシローなのだ。
◇外食レストラン新聞の2018年6月4日号の記事を転載しました。
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