福島県会津若松市出身・在住のたべぷろ編集部員・結城助助です。6月といえば梅雨……毎日雨が続いて憂鬱な気分になりますね。しかし、梅雨の時期には梅が旬を迎えます。会津地方には、ほかの地方にはない「高田梅の甘漬け」があるのでご紹介しましょう。

会津高田特産の大きな梅の実

「高田梅」は、会津高田(現 会津美里町)特産の梅です。とにかく大きな実をつける梅で、実の大きさはゴルフボール以上。大きな実の果物の中には種が大きなものも珍しくありませんが、高田梅は種が小さく、非常に肉厚で、食べごたえがあります。

一般的に、梅といえば梅干しにして食べる人が多いでしょう。あとは梅酒にしたり、青梅を甘露煮にしたりして食べる方が多いのではないでしょうか。しかし、会津地方では、昔からこの高田梅を「甘漬け」にしても食べるのです。

「高田梅」は豊後生まれ?

高田梅は、高級梅干しでおなじみの「南高梅」ではなく、「豊後梅」の系統に属する梅です。
豊後梅は、あんずと梅が自然に交配されてできた品種で、大分県で栽培が始まったとされています。

その大分県の梅が、どうして遠く離れた会津の地にやってきたのでしょうか。
時は室町時代、会津高田(現 会津美里町)を訪れた旅の僧が、豊後(現在の大分)で手に入れた梅の苗を植えたのが始まりと言われています。

その後、会津高田で梅はすくすくと育ち、夏は蒸し暑く冬はたくさんの雪が降る会津の土地に合うよう進化しながら、現在に受け継がれているのです。

会津美里町では、毎年梅雨の時期に「あやめ祭り」というお祭りがあります。その期間中に「高田梅種とばし選手権 世界大会」というイベントが催されるほど、地元の人にとって高田梅はなじみ深い特産品です。

お茶請けに最適な「高田梅の甘漬け」

「甘漬け」は、梅干しと違いカリカリとした食感が楽しめます。ただし、一般的なカリカリ梅と違い、一口で頬張るのは少し難しい大きさ。ゴルフボールより大きな梅ですから、市販のものはすでにカットされた状態で売られています。

梅干しは塩と紫蘇の葉で漬け込みますが、甘漬けは氷砂糖と紫蘇の葉で漬け込むのが特徴。また、梅干しと違って天日に干すこともしません。

青梅をよく洗ったら、水に2時間から4時間ほど浸し、梅の実を柔らかくします。
梅の実が柔らかくなったら、実を割って種を取り出し、赤紫蘇と氷砂糖で漬けていくのですが、この時一気に砂糖を入れるのは失敗のもと。

毎日少しずつ様子を見ながら氷砂糖を加えていくと、カリカリと歯触りの良い甘漬けに仕上がります。(甘漬けの作り方には、さまざまなレシピがあります。自分が作りやすい・おいしいと思うレシピを探してチャレンジしてみてください)

酸味がマイルドなので、酸っぱいものが苦手な人や小さな子どもでも食べやすいのではないでしょうか。

どこか懐かしい「おばあちゃんの味」

ほんのりしょっぱくて、甘酸っぱくて、カリカリとした食感の「高田梅の甘漬け」は、どこか懐かしいおばあちゃんの味です。普段私たちが食べている梅干しとは全く異なるその味は、一度食べてハマッてしまう人も少なくありません。

もし高田梅が手に入るようなら、ぜひ一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。