著書『世界一美しい食べ方のマナー』(高橋書店)で知られる小倉朋子さんが、まったく新しい切り口のダイエット本『やせる味覚の作り方』(文響社)を出版しました。義務感で食べるのではなく、心からおいしく野菜をいただくためのノウハウを紹介。小倉さんの野菜への愛、食事への誠実さがつまっています。読めば、知らずに野菜好きになり、減量ができてしまうという、その秘密の一部を披露していただきました。

自分の気持ちに正直になって食べる

マナーの本を多数出版しているので、マナーの先生と思われていることが多いのですが、レストランのプロデュースをしたり、メニュー開発をしたり、いわば、食のトレンドをつくる仕事をしています。ダイエットコンサルタントも17年間やっていて、さまざまなダイエットを自分の身体で体験してきました。どのダイエットもそのときはやせますが、リバウンドも多いものです。それは食習慣を一気に変えてしまうから。無駄なダイエットをしないためにこの本を出しました。

みなさん、自分の味覚に正直ですか? 本当に「おいしい」と感じる、つまり自分の気持ちに正直なものを食べて、結果としてカロリーオフになっているのが一番幸せ、それならダイエットとして続けるのも苦にはならないと思います。

テレビの情報に自分の味覚を左右されていないでしょうか。食リポなどでは、おいしいの表現が画一的で、肉なら「やわらかい」「とろける」、ハンバーグはナイフを入れて「肉汁ジュワー」。肉にも赤身には赤身のおいしさがあるように、本当はいろいろなおいしさがあります。

とんかつ屋さんに行って、ロースが食べたいのに、脂肪が少ないヒレにした方が健康にいいからヒレを頼む。それでは寂しいですよね。よく女性は「野菜が好き」と言いますが、本当に野菜が好きならばもっと食べているはず。ダイエットのためには野菜が好きでなくてはいけないから、無理に好きと思ってはいませんか?

『やせる味覚の作り方』は、命の糧である毎日の「食」にどのように向き合って生きるかを問いかけた本です。義務感で食べるのではなく、心から野菜をおいしいと感じ、身体がイキイキするようになったらすてきですよね。その気付きになればうれしいです。

「なんとなく食べる」は「なんとなく太る」ことに

具体的にどうするか? 本の中から1つだけ、ご紹介しますね。

「食べたい」と思ったら10秒見つめるんです。目の前に料理があると反射的に食べてしまいがちです。ただ、なんとなく。 そしてなんとなく消化して、なんとなく太ります。食べるときは、目の前の食べ物を10秒見つめて、「本当にいま食べたいのか」と自分に聞いてみてください。「これでいいのか?」「量も適量なのか?」10秒後、「やっぱり食べたい」と思ったら、ありがとうの気持ちを持っていただいてください。これは簡単ですが、驚くほど効果の高いダイエット法です。

毎食キャベツを食べている理由は…

「おいしい」は、五感からできているのです。味(味覚)、見た目(視覚)、食感(触覚)、音(聴覚)、香り(嗅覚)です。「やせる味覚」を手に入れるためには、もっと五感を使って食事をすることが大切です。そうすると「なんとなく」食べるということもなくなります。

五感を使った食べ方をするためには、自分がテレビのリポーターになったつもりで食リポをしてみてください。口にしている食べ物の形状や食感、温度、香り、かんだときの印象、のどごし、そして食べているときの気持ちを自分に問いかけるのです。すると、食材のおいしさを敏感に感じられるようになってきます。食事だけでなく日常生活のあらゆる部分に良い影響が表れ、「勘」が鋭くなってきますよ。

野菜を心から好きになるために、私が1年中、毎食食べているキャベツを例にとってみますね。

実はキャベツはうま味が強いので、ごはん代わりになります。お米と同じくらい甘いのです。波打つ葉や芯の塊など、1個でいろいろ食感が味わえるのも魅力。ほど良いかたさがあるから、さまざまな味を堪能できます。芯は葉に比べると、ほんのり苦味も感じられます。加熱しても表情はさまざま。炒めてシャキシャキを残すのもよし、ロールキャベツのように煮込んでトロトロにしてもよし。かみしめると感じる、なんともやさしい、ほのかな甘さがいいです。

◆プロフィール
おぐら・ともこ:飲食店や食品企業のコンサルティング、メニュー開発、戦略提案のほか、世界各国の食事マナーと合わせ総合的に食を学び、幅広い視野で強く美しく生きるための教室「食輝塾」を主宰。16年間で同じ内容の講義をしたことは一度もない。トレンド分析から食文化、マナー、ダイエット、食育など、食に関するあらゆる分野に精通したスペシャリスト。日本箸文化協会代表、ジャパンビアソムリエ協会顧問、千葉県農政審議会委員なども務める。著書、メディアレギュラー出演多数。亜細亜大学講師。

○『やせる味覚の作り方』
心から野菜が好きになり、自然にやせていく魔法の方法がいっぱい。文響社、1300円(税別)

○『世界一美しい食べ方のマナー』
食べ方で美人になれる具体的な方法が満載。小倉朋子さんの代表作。高橋書店、1200円(税別)

◇百菜元気新聞の2017年4月1日号の記事を転載しました。

 

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