アメリカ人によるアメリカ人のための抹茶ドリンク
宇治の抹茶を直輸入した抹茶ドリンク専門店、「チャチャマッチャ」のことは、人づてに聞いていたが、まさかこんなところとは思ってもみなかった。ピンクとグリーンを基調にした、明るくトロピカルな店内。ヤシの木が置かれ、まるでハバナのビーチハウスにいるような、明るくゆったりした雰囲気。日本のお茶は、ここまできたかという印象。弱りを見せないアメリカにおける抹茶ブーム。アメリカ人によるアメリカ人のための日本の抹茶ドリンクは、どんどん発展しつつある。
楽しく抹茶を飲む店づくり 楽しい、遊び心のあるお茶
抹茶といえば、思い浮かべるのが、千利休にさかのぼる伝統を重んじた厳かな儀式。が、マシュー・モートンとコンラッド・サンデルマンの同店には、わび、さびのみじんもない。底抜けに陽気で、脳天気だ。
「お茶というと、みんな、ヘルシーとかナチュラルとかオーガニックとかを思い浮かべて、その路線のプレゼンテーションをしがちだが、僕らはお茶を、楽しい、遊び心のあるものにしたかった」とマシュー。確かに、抹茶専門の店は、「和」を強調したり、木材などナチュラル素材を基調とした渋い店が多い。
マシューは、抹茶を直輸入するために、ニューヨーク大学を卒業後、コンラッドとともに宇治へと乗り込んだ。同店のオーガニックの抹茶は、アメリカ人向けに、カフェインをより多く、また苦味を少なくしてあるという。
ピンクとグリーンが基調の明るくトロピカルな店内
同店の名前「チャチャ」はもちろん、お茶からきているが、キューバのダンス、チャチャにもかけている。そのため、店内はハバナ風。ピンクとグリーンのハバナを彷彿とさせる基調カラーも、自分たちで考えたという。
「体にいいから」とか「精神的に落ち着くから」とかいうわけで飲むのでなく、ただ単に「おいしいから」、ただ「好きだから」お茶を飲む–その点に重きを置いて店づくりをしたというが、その意図は成功し、オープンで気取りのない雰囲気に引かれて、次から次へと入ってくるのは、みな20代とおぼしき若者たちばかりだ。店の前にあるベンチは、たまり場と化し、おしゃべりに興じている。オンラインでの評価を見てみると、トレンディー、クール、キュート、クワーキー(奇抜)などといった評価が出てくる。
自分好みのマイ抹茶ドリンク、人気はアーモンドとココナツ
同店の抹茶ドリンクは、3$50¢から始まる、まずまずのリーズナブルな価格。横並びするのでなく、敷居を低くし、オリジナルの道を開いた結果、たくさんの若者が流れてきた。ドリンクに入れるミルク類は、全乳、ハーフ&ハーフ、スキムミルク、アーモンドミルク、ココナツミルク、ヘンプミルク、豆乳、マカデミアミルク、ライス(コメ)という豊富なラインアップから選べることも、人気の理由の一つだ。自分好みのマイ抹茶ドリンクをテーラーメードできることで顧客は満足できる。アーモンドとココナツが人気だ。
抹茶とレモネードのソフトクリーム(4$)も、評判を呼んでベストセラーに。爽やかなレモネードの味とコクのある抹茶の味が微妙に溶け合って、なかなか乙である。ピンクとグリーンは、同店の基調カラーでもある。
9回ドリンクを飲むと、次回が無料になるパンチカードもあり、これも基調カラーで、おしゃれなイラストが入っており、「サンキューベリーマッチャ!」とダジャレ入り。
抹茶ドリンクと共に、チカリシャスとのコラボの抹茶入りスイーツも充実している。
スタッフも気さくで、かつ親切。チャイナタウンに近いリトルイタリーにあり、ノリータやソーホーなどからも人が流れるロケーション。ところが、ほぼ隣にあるカフェは人がまばらだから、ロケーションのせいばかりではない。
現金は受け付けず、クレジットカードしか使えない。クレジットカードでの清算は、混雑時もスムーズに支払いが済み、また店側にとっても会計管理がしやすい。クレジットカード会社に支払わねばならない手数料を払っても、それに見合うメリットが十分ある。
アメリカのお茶屋さんは、独自の道を歩き始めている。
◆人気メニューベスト5「アーモンド抹茶ラテ」(5$)
「ココナツ抹茶ラテ」(5$)
「抹茶ストレート(アイス、ホット)」(3$50¢)
「抹茶レモネード」(5$)
「スワールド(渦巻き)ソフトクリーム」(4$)
- 事業データ
チャチャマッチャ(ChaChaMatcha)/所在地=373 Broome Street New York NY/開業日=2016年6月/営業時間=月~木 午前8時~午後7時、金土 午前9時~午後8時、日曜 午前8時~午後7時/客単価=3$50¢~4$50¢/席数=約35
◇日食外食レストラン新聞の2016年12月5日号の記事を転載しました。
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