本格需要期を前にコンビニチェーンの中華まん、おでんの前哨戦が始まった。両市場ともコンビニがけん引し、中華まんはメーンの肉まんで火花を散らす。おでんは地域対応のつゆ・おでん種でしのぎを削る。

中華まん商戦のカギを握るのは肉まん。ファミリーマートは、製造委託先の井村屋がシート成型ライン設置の新工場を稼働したことで、専門店水準の熟成発酵生地に切り替えた。「プレミアム肉まん」198円は国産豚肉のカットサイズを9mmに拡大、具材を増やし重量を25%増の130gにした。

ファミリーマートの中華まん。中華街をイメージしたケースデザインに

ローソンは、8月から9月にかけて「ジューシー肉まん」120円、「北海道産豚の極上肉まん」180円、「釜焼チャーシューまん」160円を発売する。「北海道産豚の極上肉まん」は、近畿・三重県名張地区と、その地区を除く中四国以東で具材の味付けを変え、九州・沖縄・山口県下関地区は、鹿児島県産黒豚を使っている。

おでんは、鍋物メニューの多様化で食卓登場頻度が下降し、コンビニでも横ばい傾向にある。セブンイレブンは“味しみ”と“つゆ絡み”をより高めた。大根は切り込み(隠し包丁)をより深く入れることで中心まで味が染み込みやすくした。白滝は複数本の白滝を1本にまとめる「スリット製法」で表面積を増やしつゆ絡みを約2倍に高めた。

ファミリーマートはサークルKサンクスの人気おでん「屋台風おでん」を販売、毎月3~4種類の数量限定新メニューも投入する。ローソンはつくね、焼鳥、豚ばら肉などの串おでんを毎月1品発売しおつまみ需要を取り込む。

つゆは地区別にファミリーマートが7種類、セブンイレブンが8種類、ローソンが9種類を展開。すっきりした味、澄んだ色の昆布だしをベースに地域密着の味を提供する。

ファミリーマートは厚揚げの製法見直しで油抜き作業を全廃するなど、店内作業負荷の軽減も実現した。

◇日本食糧新聞の2017年8月30日号の記事を転載しました。