スポーツ新聞の名前を冠するユニークなギョウザが多様なメディアで取り上げられ、話題を呼んでいる。「東スポ餃子」=写真=だ。長引くコロナ禍で社会的、経済的に漂う閉塞感を打破する「新事業」を模索する東京スポーツ新聞社が、「東スポ片手にビール」の供としてギョウザに着目。ギョウザのメッカ・宇都宮の業務用冷凍食品メーカー大和フーズとタッグを組んで誕生させたのが同品で、疲弊する飲食店応援が目的だ。

開発に当たっては、徹底的においしさを追求。「インパクトが弱いと意味がない」と、「ニンニクマシマシ」に挑戦し、試行錯誤を繰り返した結果、甘さとまろやかさ、ニンニクのパンチ力が絶妙のハーモニーを醸し出す「ニンニク3倍」に行き着いた。しかも、国産小麦粉を使うことで皮のもちもち食感を実現。野菜や豚肉も国産100%で、何より高級な青森県産ニンニクを使用したことが味の決め手となり、結果的に農家応援の使命も負うことになった。

東スポ餃子

昨年9月の発売以降、コンセプトの面白さとおいしさから、テレビ朝日の芸能&ニュースを皮切りにWebや新聞、人気TV番組などメディア報道が相次ぎ、「どこで売っているの」という問い合わせが殺到。大手食品卸の展示会でも紹介され、ライフをはじめとするスーパーやドラッグの売場に並ぶほか、飲食チェーンでのメニュー化も始まった。

ただ、業務用商品だけに一般的なギョウザより大きめの22g(1個当たり)が50個入りで、メーカー希望価格2300円(税別)となっている。そこで家庭用小袋商品の発売が急務となる一方、「東スポ」ブランドの「ニンニクマシマシ」シリーズ拡充も目指し、唐揚げやとんちゃん(ホルモン焼き)も近々ラインアップする計画だ。

製造元の大和フーズは医療器具や衛生用品、美容用品などを幅広く展開する戸田商事のグループ企業だ。この戸田商事、近年はフルーツの買参権を持つ太田市場の青果物を病院や福祉施設に販売するほか、珍しい銘柄の酒類販売など、食品事業を強化している。東スポとタッグを組んだ今回の事例でも、原料調達から販売までグループシナジーの発揮が期待されている。

◇日本食糧新聞の2022年3月16日号の記事を転載しました。