“赤い顔”が増えてきた不思議 こもった熱が血液に…
「血熱」とは、体内にこもった熱が血液にまで侵入した状態のこと。日本では、これまでなかった概念だが、中医学の世界では「血熱証」として重要視されてきた。高血圧やアトピー性皮膚炎に代表されるアレルギー性の現代病、糖尿病といった生活習慣病、そしてやっかいな更年期障害等々、なかなか改善しなかった症状は、この血熱を解決することが重要だったのだ。
血熱とは、体内にこもった熱が血液にまで侵入した状態のこと。日本では、これまでなかった概念だが、中医学の世界では重要視されてきた。血熱傾向になると、出血や発熱、赤みを帯びた湿疹、イライラ、のぼせ、目の充血、生理不順といった症状が出る。
昔の日本人には少なかった“血熱”傾向にある人がいま、増えているのだ。血熱は、食生活やストレスが大きな原因とされている。
現代日本人の多くは欧米食を当たり前のように食べているが、高タンパク質、高脂肪の食事が血熱を招く。肉類が好きで野菜が苦手、インスタント食品を多く取るなど、栄養のバランスの悪い人、辛いものやお酒など刺激物を好む人も、血熱傾向になる可能性が大きい。
ストレスもまた血熱を招く。ストレスでイライラすると、交感神経の興奮度が高まり、熱を持つ。過労や人間関係、狭い住空間でリラックスできない、最近ではリストラの心配といった経済事情など、ストレスの原因は近年、ますます多岐にわたってきている。現代の日本人は、食生活やストレスによって心身ともにバランスを崩しやすい環境にある。血熱傾向にある人が増えているのは、このためといえる。
東洋医学では、血熱には“涼血”法で対処してきた。生薬としては生地黄(しょうじおう)、赤芍薬(せきしゃくやく)、牡丹皮(ぼたんぴ)などがある。これらが配合された処方に『涼血清営顆粒(りょうけつせいえいかりゅう)』があり、効用が期待されているのは、高血圧、糖尿病、リウマチ、出血、皮膚病、更年期障害。その中で次のような症状の特徴が見られる場合だ。
まず糖尿病だが、口が渇きよく水を飲む。のぼせ、便秘気味、イライラして落ち着かないなど。高血圧では、頭痛が強い、口が渇く、便秘気味、イライラして怒りっぽい、顔が赤い、眼底出血、赤い発疹など。またリウマチでは、関節が赤く腫れる。冷湿布で痛みが緩和され、温めると悪化する症状の人に。皮膚科では、ニキビ、吹き出物など、慢性または繰り返し起こる“赤い”皮膚病に。アトピー性皮膚炎の場合は、赤くジュクジュクしていてほてりを伴っている場合に。婦人科では、生理の周期が短く、量が多い、色が鮮やかな赤でベットリとしている人。更年期障害では、顔が赤く、のぼせ、ほてりといった症状の人。鼻血や血尿、血便が頻繁にあって、その血の色が赤く鮮やか、そして出血の量が多い人にも。いずれの症状も舌の色が赤いという共通の特徴がある。
日本の漢方処方にはこれまで、涼血作用のあるものがほとんどなかった。血熱という概念そのものがなかったから当然といえるが、『涼血清営顆粒』の登場により、従来の処方ではなかなか難しかった症状解決が期待できる。やっかいな症状と戦っていた人たちから、熱い視線を集め始めている。あなたの症状は、いかがですか。
(問い合わせ先:日本中医薬研究会 電話03・3273・8891)
◇百菜元気新聞の2003年6月10日号の記事を転載しました。
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