子どものころから野菜が大好き…女優・松田るかさん
兵庫県芦屋市は、作りたてにこだわった給食や、専属栄養士によるオリジナルメニューを展開するなど学校給食への取り組みが注目されています。そんな芦屋市の給食をテーマに、「食」を通してつながる「絆」を描いた映画『あしやのきゅうしょく』が3月4日より公開。主人公の新米栄養士を演じた松田るかさんに、現場での話や作品の見どころ、さらに大好きな野菜についても伺いました。
実際に給食をつくる現場で栄養士さんの所作を見て役作り
芦屋市の小学校では、各学校に栄養士さんがついていて、調理室でつくったできたての給食を子どもたちに出しているんです。「芦屋といえば給食」という印象を持っている方もいるほど、手作りの給食文化が根づいているようです。そこには、地元の親世代の方々が「自分たちが食べていたおいしい給食を子どもたちにも食べさせたい」という思いがあるからなんじゃないかなと思います。
私がこの作品で演じたのは、主人公の新人栄養士。調理師さんの場合、調理をしたり片付けをしたりと、仕事内容が目に見えて分かりやすいのですが、栄養士さんはメニューを作成して材料を発注するなど、見えないところでの仕事がとても多いんですよね。
撮影に入る前、芦屋市の小学校で給食をつくる現場を見せていただき、栄養士さんの動きや立ち位置、子どもたちにどんな声をかけているのかを入念にチェックしました。栄養士さんが、子どもたちが何をどれくらい食べたのかをすごくよく確認されていたこともあって、作品の中で、同じように立ち振る舞ったシーンもありますね。
撮影は、桜のきれいな時期に芦屋市で行いました。関西弁に挑戦するのは初めてではありませんが、より正確な言葉や発音で話そうと思い、芦屋生まれの監督に確認したり、キャストの地元の子たちに「この発音、あってる?」と聞きながら撮影していました。
小学生の頃、キムチが給食に!栄養士さんのチャレンジだったと痛感
撮影中に実感したのが、女の子の方が成長が早いということです。子どもたちの話を盗み聞きしていると、女の子は大人の会話をしているのに対し、男の子は遊ぶ話がメイン(笑)。その差がすごく面白く、かわいいなと思いました。
給食のシーンはたくさん出てくるのですが、子どもたちに配膳するためのものだったので、残念ながら私は食べていないんです。唯一、試食のシーンで春野菜の煮物を食べたくらいですね。ただ、印象に残っているのは、最近の給食では、世界各国の食べ物を出しているということです。私が小学生だった頃は、カレー以外は出なかったんじゃないかな。
でも、一度だけ、給食にキムチが出たことがあるんです。私は辛い物が好きだったので平気でしたが、同級生たちは「辛い、辛い」と大騒ぎ。いま思うと、あれは栄養士さんが外国の食べ物を子どもたちにも食べさせようとチャレンジしたんじゃないかなって。子どもたちからの評価は良くなかったんですけど(苦笑)。
また、実際の給食室に貼ってあった食物アレルギー除去食の表を見て、アレルギーを持っている子どもたちの多さも痛感しました。でも、そうした子どもたちに寂しい思いをさせないように、みんなと同じ温かい給食を提供しようと先生たちが頑張っていらっしゃることも知りました。
このご時世、みんなで集まって温かいごはんを食べることが難しかったり、一人で暮らす方も増えているように感じています。だからこそ、この映画を通して、食の良さ、人の温かさを少しでも伝えられたらいいなと思います。
沖縄から上京して一番驚いたのはもやしが安いこと!
野菜は大好きで、とくに子どもの頃好きだったのは、にんじんです。生のにんじんスティックが好きで、お弁当にも入れてほしいとリクエストしていたみたいです。野菜が好きな子だったので、親は楽だったと思いますね。
母は、県外から沖縄に嫁いできたのですが、当初、肌が荒れてしまったらしいんです。でも、島の野菜を選んで食べるようにしたら、肌の調子が良くなったという話を聞いて、その土地の食材を食べるのが身体には一番いいんだなと思いましたね。
自炊派なので、料理はよくつくります。いまの季節は、大根とひき肉をあんかけ風にした煮物が好きですね。面倒くさいので、大根の面取りはせず、パッと鍋に投げ込んでつくってます(笑)。
沖縄から上京して驚いたのは、同じ野菜でも地元と呼び方が違うことです。沖縄で「ハンダマ」と呼んでいた野菜が「水前寺菜」だったり。正式名称を検索するんですけど、結果、東京には置いてないこともよくありますね。
中でも一番びっくりしたのは、もやしが安いこと。沖縄では100円はするのが、東京では20~30円ですから。もやしは、シャキシャキした食感が好きですし、どんな料理にも使えますよね。食べ過ぎてお米を減らしたい時には、少し火を通したもやしに卵を加えて「なんちゃって天津飯」をよくつくります。もやしが安く手に入ることは、東京に来て良かったことの一つですね(笑)。
<プロフィル>
まつだ・るか 1995年10月30日、沖縄県生まれ。2006年デビュー。2016年ドラマ『仮面ライダーエグゼイド』にヒロインの仮野明日那・ポッピーピポパポ役でレギュラー出演。2018年ドラマ『賭ケグルイ』の熱演が話題になり、2020年にはNHK連続テレビ小説『スカーレット』に出演。『映画 賭ケグルイ』シリーズ(19/21)、『映画 としまえん』(19)など、多くの映画・ドラマ・CMに出演。
映画『あしやのきゅうしょく』3月4日(金)全国順次公開
【story】芦屋の小学校に赴任した新人栄養士・野々村菜々は、退任するベテラン栄養士から給食のイロハを引き継ぐ。予算や子どものアレルギー、宗教上の問題などに対処しながら、おいしい給食を食べてもらおうと奮闘する菜々だったが、子どもたちからの反応は芳しくない。果たして菜々は、子どもたちに受けて入れてもらえる給食をつくることができるのか…。子どもたちの成長を守る給食の大切さを描いたヒューマンドラマ。
キャスト:松田るか/石田卓也/藤本泉/堀内正美/桂文珍/赤井英和/秋野暢子 ほか
監督・脚本:白羽弥仁
◇百菜元気新聞の2022年2月1日号の記事を転載しました。
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