バラエティー豊かな串揚げでお酒を楽しみ、締めは本格手打ちそばという異色のそば居酒屋として人気の「神楽坂 さかや」。そばメニューには「冷やし担々蕎麦」(900円)のような個性的な商品のほか、シンプルな「ざる蕎麦」も用意している。

ただ、ざる蕎麦のようなありきたりな商品であっても、提供時に「まずは添えた塩を少し振りかけて食べてみてください」とひと言提案して個性を打ち出すのが「さかや流」だ。「手打ちそばの繊細な香りや甘味を多くの人に感じてほしいという思いから考えついたのが塩で食べていただくスタイルです」と坂本達店主は説明する。

昨今、そばつゆに麺をべちゃっとつけ込んで食べる人も少なくなく、それでは手打ちそばの価値が半減してしまう。このひと言を添えると、手打ちそばのおいしい店であることをお客に実感してもらうことができるのだ。

そばの付け塩に使用しているのが長崎・五島列島で作られている「藻塩」。独特な褐色は海藻のホンダワラと海水を一緒に炊き上げて塩を作る独特な製法ゆえ。ストーリーと味の両方で説得力のある提案だけに「常連客には最後まで塩でそばを楽しむ方もいる」のだそうだ。

●店舗情報
「神楽坂さかや」
所在地=東京都新宿区神楽坂3ー1 京花ビル1階

◇外食レストラン新聞の2021年5月号の記事を転載しました。