「美女と野獣」の世界観を表現したチョコパイ、担当者が語る開発秘話
ロッテは、おとぎ話と連動する商品作りに挑戦し成功を収めた。ロングセラーブランド「チョコパイ」で16年上期から展開している「味わうチョコパイおとぎ話」シリーズの17年の新作で童話「美女と野獣」をイメージし、3月に発売した「チョコパイ〈ティラミス晩餐会のデザート仕立て〉」が好調な売上げを示す。さらに、6月27日発売の新商品「2人の真実のLOVEベリー味」も好調な滑り出しとなった。
「親子のコミュニケーションをお手伝い」
認知率、配荷と高いレベルにある「チョコパイ」ブランドの活性化に取り組んだのは、同社マーケティング統括部ブランド戦略部チョコ・ビス企画室の「チョコパイ」担当、本原正明氏と原田杏子氏をはじめとする中央研究所を含めたチームだ。童話「美女と野獣」の物語を味、見た目、パッケージで消費者に分かりやすく違和感なく伝えることで、既存顧客に加え、新規顧客の獲得に成功した。本原氏と原田氏に話を聞いた。
Q.商品開発の狙いは。
A.(本原氏)
「美女と野獣」は、1740年にフランスで原作が発表され世界中の映画や舞台、アニメなどで紹介されている作品で、物語の構成として起承転結が明確な物語となっています。こうした物語の特徴を考慮し商品を開発しました。
第1弾「チョコパイ〈ティラミス晩餐会のデザート仕立て〉」は、童話「美女と野獣」の晩餐会に出てくるデザートをイメージしてティラミス味に仕上げ、味わいだけでなく、チーズクリームとココアケーキの不釣り合いな見た目の色合いで童話「美女と野獣」の間にある距離感を表現しました。
第2弾「2人の真実のLOVEベリー味」は、野獣が王子に戻る、起承転結の「結」に当たるハッピーエンドの「寄り添うふたり」をイメージして、ストロベリーケーキでストロベリークリームをサンドするという商品設計にしました。
また、第1弾に続き、捨てられることが多い箱を活用し、物語の世界観を具現化するツールにしました。今回は、世界に一つだけのオリジナルハッピーエンディングをパッケージで作れるようにしました。パッケージ記載した手順に沿って、色を塗り、組み立てていただき購入者の方に、美女と王子(野獣)それぞれのセリフを考え、書き込むみ物語が完結するという仕掛けにしました。
また、この仕掛けを担保するために、パッケージのイラストは、新しい世界観を作ることができる、人気イラストレーターの中村佑介さんを継続起用しました。
Q.ロングセラーブランド活性化のポイントは。
A.(本原氏)
チョコパイが提供する絶対的なおいしさに情緒的価値や楽しさを付与して、既存ユーザーに加えて新規ユーザーを開拓したいと考えました。研究所のメンバーも含め、チームとして作り上げた、おとぎ話シリーズで、新たな顧客の獲得に成功し、ブランドとしての間口拡大に成功しました。
認知率が高いブランドは、「購入したいという気持ち」を喚起させることが重要で、「購買の動機付け」となる要素を複数、商品に付与できた「おとぎ話シリーズ」は、こうした取り組みが成功したと考えます。
Q.ブランド担当としての役割分担は。
A.(原田氏)
私は子どもがおりますので、おやつで食べるだけでなく、仕掛けを作ることで、より良い親子のコミュニケーションをお手伝いできればという視点で今回はプロモーションを担当しました。
オンラインショップで「世界に一つだけのオリジナルハッピーエンディングを作ろうキャンペーン」を展開します。キャンペーンサイトにエントリーしていただきオリジナル作品の写真をアップしていただくと、優秀作品上位5人に「チョコパイ」10個をプレゼントします。
さらに、中村佑介さん直筆サイン入りのポストカード付き「チョコパイバラエティセット」を500セット限定で販売しましたが数時間で完売となり大反響企画となりました。
◇日本食糧新聞の2017年7月10日号の記事を転載しました。
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