日本人のソウルを揺さぶる海老ラーメン5選!
「とりあえずラーメンでいいか」と消極的にチョイスされるものだったラーメンが、「今日はあの店のラーメンが絶対に食べたい!」と熱望されるメニューになってから久しい。万人に愛される大衆食でありながら、その美味を究めてミシュランで星を取る店舗が続々と登場するなど、数あるグルメの中でもラーメンはもはや唯一無二の存在だ。そんなラーメン界に広がる新勢力として外食レストラン新聞編集部が今、注目しているのが「エビラーメン」。今回取材した中で、エビラーメンの魅力についてどの店も「とにかく日本人はエビが好きですから」と、口を揃えている。日本人のソウルを揺さぶるエビラーメンの実態を探った。
えびしお スープ・エビ油・エビ粉を仕上げでブレンド
2009年9月に札幌本店創業の、エビラーメンの先駆け的存在だ。甘エビの頭部を煮込んだスープに、1回の仕込みで甘エビの頭約15kgを炊いて抽出したエビ油と、甘エビの頭をフライパンで炒ってミキサーにかけたエビ粉を仕上げ段階で合わせ、提供している。
「エビは炊き過ぎると生臭くなったり、風味が弱くなる。コクの部分をエビ油に、風味をエビ粉にし、提供直前にこれらを合わせると、最もエビのおいしさが出る」と、「一幻 新宿」の須藤敬悟代表は言う。
エビラーメン店の多くは濃厚さをウリにしているが、「うちのスープは濃過ぎないバランス感が自慢。純粋にエビの魅力が味わえます」と、須藤代表は胸を張る。
○店舗情報
「えびそば一幻 新宿店」
所在地=東京都新宿区西新宿7-8-2福八ビル1階
営業時間=11時~23時、水曜休
席数・坪数=13席・25坪
1日平均集客数=400~500人
海老寿久担々麺 エビの濃厚なうま味に辛さと多彩な風味
本店は新潟県にあり、看板メニューは本格中華料理店出身の店主が作る麻婆麺。「海老寿久担々麺」は当初、期間限定メニューだったが、「『復活させて!』というお客さまの反響がすさまじかった」(同店グループ山際葵マネージャー)そうで、定番メニューに昇格。濃厚なエビのうま味と担々麺の魅力をコラボさせた一品だ。
スープは、甘エビの頭をカリカリに炒めてミキサーにかけ、ペースト状にしたものをベースにし、自家製の芝麻醤と合わせている。クミンの風味を付けた肉味噌や、赤い香味ラー油と黒い山椒油をスープに流し込み、異なる味を楽しめるようにするなど、担々麺を進化させた、店主の斬新なセンスが光る。
○店舗情報
「麺屋 愛心 町屋店」
所在地=東京都荒川区荒川7-39-3 シティハイム町屋1階
営業時間=11時~15時、17時30分~22時30分、火曜休
席数=10席
1日平均集客数=平日110人、休日150人
冷やしえび中華 “日本一濃い”エビスープをひんやりと
同店のつけ麺は、「エビの濃さなら、どの店にも負けない(笑)」と安藤佑太代表が自信を示す、とろりとしたタレが特徴。甘エビの頭を使い、独自の手法で臭みを抜いてうま味だけを凝縮させたエビエキスに鶏スープと昆布、煮干し、干し椎茸のだしを合わせた。
「『本当のエビよりもエビらしい味』とお客さまに言われます」と、安藤代表。また、夏季限定販売の「冷やしえび中華」は、口コミで大評判を呼んでいる。エビ感たっぷりのクリーミーなごまダレだが、和風寄りの味で後口はさっぱり。冷やし中華というより、まったく新しい「冷製エビ混ぜ麺」と表現したくなる、オリジナリティーの高い味だ。
○店舗情報
「つけめん えびくらぶ」
所在地=相模原市南区相模大野3-3-1ボーノ相模大野サウスモール1階
営業時間=11時~24時、無休
席数=15席
1日平均集客数=60人
元祖海老丸らーめん フレンチと大衆グルメの融合
フレンチ出身のシェフが作る、高級食材のオマールエビを使用した異色のラーメンだ。オマールエビを年間5tも仕入れることで、880円での提供を実現した。「これほど大量のオマールエビを使う業態は珍しく、破格値で仕入れできる」と、長坂将志店主は言う。他にはない味ながら、創業直後は苦戦を強いられたとか。
「当初はフレンチの手法にこだわって味つくりをしていた。そこでフレンチから少し離れ、ハーブや野菜を引き算した」(長坂店主)。オマールエビの味をストレートに出し、かえしで味を作る正統派ラーメンの手法で“ラーメンとしての完成形”を追求した。その狙いは正しく、今では堂々たる行列店となっている。
○店舗情報
「海老丸らーめん」
所在地=東京都千代田区西神田2-1-13十勝ビル1階
営業時間=11時30分~15時、18時~22時(土日祝11時30分~20時)、月曜休
席数・坪数=20席・20坪
1日平均集客数=200人
海老トマトつけ麺 濃厚エビスープに爽やかなトマトをプラス
裏道にありながら行列が絶えない名店。「『ここまでエビの味が強いとは!』と、驚く方も多い。無難な味を出そうとは思っていない。エビを飲んでほしい(笑)」と、荻野仁志副社長。豚と鶏を煮出したスープに広がるエビのおいしさ全開で、ハマる人は猛烈にハマるだろう。
自家製の全粒粉太麺は、1人前270g(ゆで上がり)という大盛り分量。手切りの三角メンマも斬新で、「うちのラーメンは具材もすべて個性的な主役」と、荻野副社長は言う。トマトソースを合わせ、焼いたミニトマトを添えた「エビトマトつけ麺」は、“飲むエビ”に爽やかさをプラスした、エビラーメンの可能性を広げる新感覚の美味だ。
○店舗情報
「つけ麺 五ノ神製作所」
所在地=東京都渋谷区千駄ヶ谷5-33-16
営業時間=11時~21時、無休
席数=16席
1日平均集客数=500人
◇外食レストラン新聞の2019年11月4日号の記事を転載しました。
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