沢の鶴が製造した“奇跡の日本酒”が話題を集めている。1995年に醸造し阪神・淡路大震災で被災したものの、耐え抜いた酒母を搾ったという珍しい酒だ。24年にわたる長期の熟成を経て、酸味や甘みが調和した複雑な味わいを生み出した。

沢の鶴が熟成を続けていた酒に日本酒関連のスタートアップ企業Clear(生駒龍史社長)が注目し、商品化を決めた。

海外でも人気のプレミアム日本酒ブランド「SAKE100(ハンドレッド)」の第4弾「現外-gengai-」として、5月23日に同ブランドのECサイトで発売を開始した。500ml瓶入りで15万円(税込み、送料別)で、限定100本。アルコール度数14.5%。

酒母に蒸し米や麹(こうじ)などを加え醪(もろみ)にしてから搾るのが一般的な酒造りの工程。酒母のまま搾ると、酸味が強くて飲むことはできない。

沢の鶴の宮崎紘二次長(左)とClearの生駒龍史社長

味の確認を続けてきた沢の鶴マーケティング室の宮崎紘二次長は「ずっと酸っぱかったが、ここ5年ぐらいで複雑さを増し商品化できるように変わってきた」という。

◇日本食糧新聞の2019年5月31日号の記事を転載しました。